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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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マリー・アントワネット物語展

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そごう美術館で開催中の “マリー・アントワネット物語展” に行ってきました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-マリー・アントワネット物語展


行く前から、薄々予感はしていましたが・・・。

会場内のお客さんの9割が、女性。
それも、おそらく、ベルばら世代の女性 (笑)
それに加えて、マリー・アントワネットのイメージに合わせて演出されたゴージャスでセレブリティな展示空間。
アラサー男子の僕には、なかなかアウェーな美術展でした。。。


とは言え、僕が感じた居心地は、さておきまして。
展覧会としては、予想していたよりも、遥かに面白い内容でした!
正直なところ、僕は、この美術展に対して、

「どうせマリー・アントワネットが所持していた品々を、これみよがしに見せる展覧会なんだろうなァ」

と、勝手なイメージを抱いていたのですが、
実際の展覧会は、そんな薄っぺらい内容のものではありませんでした。
確かに、マリー・アントワネットが所持していた扇子や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-扇子


時計なども展示されていましたが。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-時計


今回の展覧会のメインとなるのは、マリー・アントワネットその人。
彼女が、どういう人間で、どういう生き方をし、どのようなイメージを持たれ、
そして、どのような最期を迎えたのかを、客観的に浮き彫りにした展覧会でした。
マリー・アントワネットと言えば、

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない?」

というKYな発言をした女王というイメージしかなかったですが、
今回の展覧会を通じて、真実のマリー・アントワネット像を知れた気がします。


さてさて、展覧会に行けば、より詳しくマリー・アントワネットの人生がわかりますが。
こちらのブログでは、マリー・アントワネットの人生を、駆け足でご紹介していきましょう。

まずは、14歳のマリー・アントワネットから↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-オーストリア皇女マリア・アントニア


ハプスブルグ家の皇后マリア・テレジアの下から2番目の子として生まれたマリー。
わずか11歳にして、ルイ15世の皇太子との結婚が決められたのだそうです。
そして、このエッチングが描かれた年に、のちのルイ16世と結婚。
フランス国民が、マリーの美しさに熱狂したとのことですが、
それに反して (?)、ルイ16世のビジュアルは・・・。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ルイ16世


王位についている時に、このように描かれるのですから、
実際は、もっと “へちゃむくれ” だったに違いありません (←失礼!)
しかし、このルイ16世。
見かけによらず (?) 、手先は、かなり器用だったそうで。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-時計のねじ


会場には、ルイ16世が、妻のマリーに贈ったとされる自作の時計のねじが展示されていました。
とても王様が作ったものとは思えない精巧な出来でした。

さてさて、美女と珍獣カップルゆえに (?) 、
マリーとルイ16世の間には、結婚後7年も夫婦生活は無かったそうですが。
マリーが23歳の時に、最初の子を妊娠。
フランス王室のしきたりに従って、その出産は、なんと・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-出産


完全公開で行われたのだとか!!
このしきたりに対するマリーのカルチャーショックぶりは、ハンパなかったのだそうです。

子供が出来るまで、遊びまくっていたマリーも、子供が増えるにつれて、良きママに。
その頃描かれた肖像画には、子供と一緒のものが多いのだとか。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-王妃マリー・アントワネットと子供たち


公私ともに充実していたマリーに思えましたが、
宮殿の財政が次第に悪化、民衆は、その非をマリー一人に負わせ、糾弾するようになります。
その頃、描かれたマリーの風刺画が、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-マリー・アントワネットの風刺画


完全に悪意の塊で描かれた絵です。。。
ヴィジェ・ルブランによって描かれた肖像画と比べてみると、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-王妃マリー・アントワネット


絵のモデルが同一人物とは、到底思えません。


そして、1789年。
フランス革命が勃発。
マリーが36歳の時に、国王一家はタンブル塔に監禁されてしまいます。
そして、翌年1793年の10月16日12時15分。
マリー・アントワネットは、ギロチンにより処刑され、37歳の短い生涯を閉じるのです。

今回の展覧会の最後を飾るのは、処刑台に向かうマリー・アントワネットの姿を描いた一枚。
《コンシェルジュリを出るマリー・アントワネット》 です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-コンシェルジュリを出るマリー・アントワネット


毅然とした態度で、階段を上るマリーの後ろ姿に、震えるほど感動してしまいました。
彼女の激動の人生を、展覧会を通じて追体験してきただけに、その感動はひとしおです。
今回の展覧会は、この一枚を観るための展覧会だったと言っても過言ではありません。


さて、この展覧会には、もう一つの感動ポイントが。
それは、再現されたマリーのドレスの数々が展示された写真撮影可能なコーナー。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-写真撮影  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-写真撮影 ドレス


そのゴージャスで宮殿のような雰囲気に、思わず脳内で・・・




この曲がループ再生されました (笑)

まさに、皆が思い抱くお姫様のイメージそのままの世界観に、
ドレスを見つめる女性客の目が、少女のような目になっていたのが印象的です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ドレス  アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ドレス


ちなみに、そのコーナーの中で、衝撃的なモノを発見!

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-カツラ


これは、マリーの時代に上流階級の女性たちの間で流行ったとされる “軍艦ヘアスタイル”
当時のオシャレ女子たちは、こぞって、こんなヘアスタイルをしていたのだとか (笑)
ちょっと前に、ギャルの間で、 “名古屋巻き” が流行っていましたが。
この軍艦ヘアスタイルに比べたら、名古屋巻きなんて、だいぶ普通です。

「こんなヘアスタイルをしてみたいドキドキ

そんな奇特な方のために。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-カツラ


会場には、記念写真用のカツラが用意されています。
良かったら、被ってみては、いかがでしょう?


マリー・アントワネットの生涯を、
本物の美術品の数々で紹介するという展覧会そのものも面白かったですし。
美術館であることを忘れさせる、作り込まれた会場の演出も素晴らしかったです。
惜しいのは、ここがそごう美術館であったこと。
普通の美術館と違って、そごう内にあるため天井が低く、
どうしても宮殿という感じには、一歩及ばない気がしました。
星星
限りなく、3つ星に近い2つ星。
たぶん今後の巡回先の美術館や博物館では、もっと素敵に感じられるに違いありません!

 <巡回情報>
  ・愛媛県美術館  2012年11月29日(木)~ 2013年1月20日(日)
  ・沖縄県立博物館・美術館  2013年2月8日(金)~4月14日(日)
  ・福岡県立美術館  2013年4月27日(土)~ 2013年6月23日(日)
  ・兵庫県立美術館  2013年7月6日(土)~9月1日(日)
  ・岡山シティミュージアム  2013年9月11日(水)~10月27日(日)<予定>



最後に、個人的に印象に残った1枚。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ノートル=ダム橋と~


こちらは、 《ノートル=ダム橋とシャンジュ橋の間でおこなわれた船乗りたちのゲーム》 です。
いつの時代も、こういうバラエティ番組みたいなことは盛り上がるのですね (笑)




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