本日ご紹介する展覧会は、
“20世紀のポスター[図像と文字の風景] ―ビジュアルコミュニケーションは可能か?” です。
そのポスターデザインの雰囲気といい。、
その展覧会タイトルのネーミングセンスといい。
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] か、
もしくは、アドミュージアム東京での展覧会のような印象がありますが。
意外や意外にも (?)、東京都庭園美術館での展覧会です。
展覧会のテーマは、ズバリ構成的ポスター。
図像と文字を幾何学的・抽象的な融和のもとに構成したポスターです。
1910~20年代のヨーロッパで誕生した構成的ポスターは、
その後、時代と地域を超えて、多くのデザイナーがこの様式を継承しております。
そんな構成的ポスターの20世紀の名品の数々が一堂に会した展覧会です。
果たして、構成的ポスターの数々と、
東京都庭園美術館の室内がマッチするのだろうか・・・?
正直なところ、美術館を訪れる前は、やや不安を感じていたのですが。
建物にひとたび足を踏み入れるなり、杞憂に終わりました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
全然あり!
アールデコ建築と構成的ポスターが、
絶妙すぎるほどに、マッチしていました。
室内がデコデコ、デコラティブだからこそ、
むしろ、構成的ポスターのシンプルさが際立つといいましょうか。
建物とポスターが、お互いの魅力を引き立てあっていました。
さてさて、ここからは、個人的な感想なのですが。
確かに、構成的ポスターは、デザインとしては優れています。
シンプルながら、パッと目を惹くものがあります。
ただ、サブタイトルにあるように、
“ビジュアルコミュニケーションは可能か?” といえば、そこには疑問が残りました。
例えば、これらのポスター。
デザイン自体は、とてもカッコいいですが、
冷静に考えると、一体、何のポスターなのでしょう?
航空会社?それとも、薬品?
正解は、室内楽コンサートのポスターです。
どのあたりが、どう?
音楽っぽさは皆無です。
強いていうなら、シンセサイザーのコンサートっぽい感じでしょうか。
また、例えば、こちらのポスター。
サバイバルホラー系の映画ポスターのようなビジュアルですが、さにあらず。
なんとスイスの自由党の政党ポスターなのだとか。
なお、書かれている一文を訳すと、「あなたも自由である」 になるそうです。
自由を無言で押し付けられて、むしろ不自由さを感じました。
書庫に展示されていたポスターも、なかなかのインパクト。
よく見ると、男女の顔の一部が重なっています。
どういう状況なん??
ちなみに、こちらはチューリッヒ工芸美術館での展覧会ポスターとのこと。
どれだけの人が、このポスターを見て、
この展覧会に行きたくなるのでしょうか??
ちなみに。
新館の方では、70年代から90年代にかけての、
比較的最近の構成的ポスターが紹介されていました。
その中で特に印象に残ったのが、
ジャン=ブノワ・レビィというスイスのグラフィックデザイナーによるポスター群でした。
センスが独特も独特!
常人にはない発想の持ち主です。
例えば、こちらのポスター。
クリストファー・ノーラン監督の映画のポスターかと思いきや。
オルガンコンサートのポスターなのだそうです。
カッコよくて、目も惹きますが、
まったくもって内容が伝わってきません (笑)
では、最後に皆様にジャン=ブノワ・レビィクイズ!
こちらの左のポスターは、一体何の広告のポスターでしょう?
MISIAのアルバム?
それとも、ドラッグ禁止の啓蒙ポスター?
正解は、そのどちらでもありません。
理容店のポスターだそうです。
どこがやねん!