昨年の11月末以来、改修工事を行っていた日本民藝館。
無事に改修も終わったとのことなので、早速、足を運んできました。
・・・・・・・と、外観には大きな変化はありませんね。
ということは、本館の内装が変わったのでしょうか??
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
いや、内装もこれまで通りのようです。
これまでの雰囲気が好きだったので、
むしろ内装が大きくガラッと変わってなくて、ホッとしましたが。
では、一体どこが改装されたのでしょう?
正解は、新館の大展示室。
以前の大展示室は、床が板張りでしたが。
日本民藝館の創設者・柳宗悦が設計し、
のちに豊田市民芸館に移設された旧大広間を踏襲し、
自然素材 (=大谷石) の床へとリニューアルされたようです。
また、以前はそっけない壁 (?) でしたが、
今回の改修で、葛布が全面に貼られました。
さらに、デリケートな作品も展示できるよう、
片側の壁には常設の展示ケースが設置されたそうです。
雰囲気もアップ。
展示室としての機能もアップ。
いいことづくめのリニューアル!
今回の改修で、日本民藝館は確実にパワーアップしていました。
さて、そんなリニューアルを記念して、現在開催されているのが、
“日本民藝館改修記念 名品展Ⅰ ―朝鮮陶磁・木喰仏・沖縄染織などを一堂に” という展覧会。
日本全国を旅しながら仏像を彫った僧・木喰による 「微笑仏」 の数々や、
東京ステーションギャラリーでの展覧会でも紹介されていた大津絵の数々、
さらには、目にも鮮やかな沖縄の紅型の数々など、
文字通り、日本民藝館が所蔵する名品ばかりを一堂に会した展覧会です。
まさに、ベストofベスト日本民藝館コレクション展といった感じ。
日本民藝館がお好きな方はもちろん、
日本民藝館デビューしたい方にもオススメの展覧会です。
さてさて、そんなベスト品の数々の中で、
個人的に印象に残ったものを、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、写真手前の 《刷毛目線刻印花鉢》 から。
線刻がフリーハンドにもほどがありました。
まるでウソ発見器のポリグラフのよう。
もしくは、wwwwwwwwww。
しばらく眺めていたら、サイ・トゥオンブリーが描いた線のようにも見えてきました。
続いては、画面手前の仲良く並んだ2体の神像です。
手の生え方とか足の生え方とか。
身体のバランスとか服がどうなっているのかとか。
ツッコミどころが多すぎて、どこからどう処理すればよいやら・・・。
ちなみに、左のほうは大黒天のようです。
打ち出の小槌が、十字架にしか見えません。
ヘタウマを通り越して、ヘタヘタです。
ヘタウマといえば、この掛け軸も。
キャプションによると、題は 《柳鷺図》 とのこと。
柳なのか・・・?
鷺なのか・・・??
こんなヘタウマな絵を描いたのは誰かと思い、
再びキャプションに目をやると、意外な人物の名前が書かれていました。
伝雪舟
いや、どう見ても雪舟ではないだろ。
「伝」 とはなんと便利な言葉なのでしょうか。
しかし、「伝」 とある以上は、
この絵を雪舟の作だと信じた人がいて、
それを譲り受けた人も雪舟の作だと信じたのだということ。
そして、そのやり取りがあったからこそ、今こうして残っているのだということ。
そう考えると、雪舟の作品と同じくらいに価値があるように思えてきました。
最後に紹介したいのは、こちらの釜です。
一回素通りしてしまいましたが、思わず二度見!
よく見ると、表面に手形が付いているではないですか!
釜がまだ柔らかい鉄が熱々なうちに、
職人さんがこの手形を付けたのでしょうか?
いや、さすがにそんな拷問みたいなことはしないよな・・・??
作品に添えられた・・・・・
「手をふれないで下さい」 というキャプションの一文は、
鑑賞者ではなく、この釜を作った職人に訴えかけていたのかもしれません。