先日、トヨタが静岡県裾野市に、
ウーブン・シティと名付けた都市を建設することが発表されましたが。
実は、茨城県筑西市にはすでに、
とある企業が一から開発した都市があります。
その名は、ザ・ヒロサワ・シティ。
茨城県を代表する企業グループ、
広沢グループの会長が地元を活性化させるべく、
四半世紀にわたって開発を続けている都市型テーマパークです。
その敷地の広さは、なんと100万平方メートル。
ゴルフ場やバーベキュー場、農園、こども園、専門学校も完備しています。
そんなザ・ヒロサワ・シティの中心部に、
今年1月2日開館したのが、廣澤美術館。
広沢会長がコレクションした美術品を公開する美術館です。
見る角度によっては、スタバを彷彿とさせるこの建物は、
新国立競技場の設計でも知られる隈研吾さんの設計によるもの。
隈さんといえば、木材を得意とする建築家というイメージが強いですが、
昨年オープンした角川武蔵野ミュージアムでは、石を大胆に用いて話題となりました。
実は、この廣澤美術館の建築にも、石が大胆に用いられています。
建物の外観を覆うように置かれているのは、大量の自然石。
その数、約1500個。
総重量は、約6000トン。
なんとこれらの自然石も、広沢会長のコレクションなのだそう。
それを知った隈さんの脳裏に浮かんだのが、
“巨石で建築を消す” という前代未聞のアイディアでした。
こんな斬新すぎる建築の美術館は、
世界広しといえども、おそらくこの廣澤美術館だけなはず。
ちなみに、模型で見ると、こんな感じです↓
石に囲まれているということは、
内部ではさぞ圧迫感を覚えるだろうと思いきや。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
随所から光が差し込み、むしろ開放的な印象でした。
隈さんが設計した那珂川町馬頭広重美術館や、
根津美術館くらいに落ち着きのある空間となっています。
また、建物以外にも注目したいのが、
建物を囲むように全部で3つある廣澤美術館の庭です。
「炎 (ほむら)」 と名付けられた芝生と石の庭と、
「寂(しじま)」と名付けられた竹の庭は、
ランドスケープアーキテクトの宮城俊作さんの設計によるもの。
そして、「浄(きよら)」 と名付けられた日本庭園は、
昭和を代表する作庭家・重森三鈴の弟子である斉藤忠一さんが手掛けています。
なお、この3つの庭を命名したのは、万葉集研究の第一人者であり、
「令和」 という元号の考案者とみられている国文学者の中西進さんだそうです。
ビッグネームが何人も携わっているそんな廣澤美術館で、
現在開催されているのが、“棟方志功と民芸の仲間たち展” という展覧会。
展示室には、日本を代表する板画家・棟方志功の作品がズラリ。
これまで公開される機会がほぼなかったという貴重なコレクションが一挙公開されています。
板画はもちろん、直筆の作品も数点展示されていました。
・・・・・・と、廣澤美術館の展示室に飾られていたのは、棟方志功の作品だけ。
“民芸の仲間たちの作品は??” と思ったら、
本館から少し離れた場所にある風情溢れる離れの中に展示されていました。
この離れはもともとこの地にあった蔵を、
リノベーションした展示スペースとのこと。
雰囲気が民芸の作家の作品と絶妙にマッチしていました。
ちなみに。
建物、庭、コレクションと見どころ満載の廣澤美術館ですが。
こんなところにも、意外な見どころが↓
入口に設置されたこの壁。
よく見ると、表面に不思議な模様が付けられているのがわかります。
実はこの壁自体が、 左官職人の挾土秀平さんの作品なのだとか。
またもビッグネーム!
さりげなくスゴいものがある。
それが廣澤美術館。
さて、ここまで紹介してきたのは、
廣澤美術館のほんの一部にすぎません。
この後、まだまだ驚かされることになったのですが、
1本の記事ではまとまり切らなかったので、続きはまた明日に!