新型コロナウィルスによって、
数多くの展覧会が中止、または延期となりました。
それは、芸術祭もしかり。
昨年予定されていた 「房総里山芸術祭 いちはらアート×ミックス」 や、
「北アルプス国際芸術祭」 といった芸術祭が、今年に延期されることとなりました。
が、しかし、今の時点で再開日は確定していません。
と、そんな日々の中で、昨年6月にスタートしたのが、
「Artists’ Breath」 というインスタグラム上でのプロジェクトです。
https://www.instagram.com/artistsbreathpress/?hl=ja
こちらは、アートディレクター北川フラムさんが企画したもので、
コロナ禍において、アーティストはどのように生活をしているのか、
何を感じているのか、その様子をまとめた動画を毎日アップするというもの。
参加したのは、世界149組のアーティスト。
「北アルプス国際芸術祭」 や 「瀬戸内国際芸術祭」 を含む、
北川さんが総合ディレクターを務める5つの芸術祭の参加アーティストたちです。
動画の尺は2分程度。
作品解説やパフォーマンスなど、
アーティストらしい動画も多々ありますが。
中には、ユルくトークするものや、
娘の姿をただただ映したものなど、
アーティストの素の部分が垣間見える動画もあります。
そんな 「Artists’ Breath」 の動画を一堂に展観しようと企画されたのが、
市原湖畔美術館で現在開催中の “Artists’ Breath―コロナ禍の中、アーティストはいま” です。
今展では、「Artists’ Breath」 の動画を、
ただモニターやスクリーンで上映するわけではなく。
美術館の吹き抜け空間を全体的に使って、
一つの映像インスタレーション作品のように展示しています。
映像構成を手掛けているのは、高橋啓祐さん。
「瀬戸内国際芸術祭」 にも参加している気鋭の映像作家です。
YouTube用の動画ではなく、
Instagram用の動画なだけに。
横型だけでなく、縦型の動画もあります。
その上、テイストもバラバラな動画が、
不思議と調和していたのが印象的でした。
すでに 動画をチェックしている人でも、
また別物として楽しむことができる展覧会です。
ちなみに。
展示室の一角では、こんなコーナーも。
まるで民俗系の博物館のような光景です。
実は、「Artists’ Breath」 には、
企画者の北川さん自らが参加した動画シリーズがあります。
それは、啓蟄や夏至、春分といった二十四節気ごとのたよりを発信するというもの。
しかも、それぞれの節気に合わせて日本各地で行われる祭り、
または、行事にインスピレーションを得て制作された仮面や衣装を身にまとって。
この部屋で展示されているのは、
北川さんが実際に身にまとったものばかり。
御年74歳。
日本を代表するアートディレクター、北川フラムさん。
それだけに、自然とこの言葉が口をつきました。
「何やってんすかw」 と。
絵面がシュールすぎて、
ニヤニヤが止まりませんでした。