キース・ヘリングのコレクションのみを展示する世界で唯一の美術館。
それが、山梨県の小淵沢にある中村キース・へリング美術館。
2013年に訪れて以来、だいぶご無沙汰だったのですが、
昨年2020年にキース・へリング没後30年の節目の年を迎えたこともあり、
実に8年越しに、小淵沢へ足を運んできました。
すると、美術館のほど近くに、
インパクト抜群の建物が爆誕していました。
こちらは、中村キース・へリング美術館の付属となるラグジュアリーなホテルなのだそう。
その名も、キーフォレスト北杜。
設計したのは、中村キース・へリング美術館の建物と同じく、建築家の北河原温さん。
縄文文化にインスパイアされた建物とのことです。
キース・へリング、関係ないんかい。
それはさておき、久しぶりの中村キース・へリング美術館。
やはりウィズコロナ時代ということで、
キース・へリング柄のアルコール消毒液が設置されていました。
キース・へリング柄になるだけで、なんともオシャレな印象に。
ちなみに、そんなキース・へリング柄は他にも、
館内のいたるところで、目にすることができます。
壁や床に使われているのは、もちろんのこと。
ふと上を見上げると、プロジェクターのカバーにも使われていました。
もしかしたら、キース・へリングが今も生きていて、
絵が描けるスペースを見つけてはグラフィックを施しているのでは?
そう思ってしまうくらいに徹底していました。
さて、そんなキース・へリング美術館で、
現在開催されているのは、“Keith Haring: 360°” という展覧会です。
キース・へリングというと、平面作品の印象が強いかもしれませんが。
実は、意外と立体作品も数多く存在しています。
そんなキース・へリングの立体作品を、
360°あらゆる角度から楽しんでみようという展覧会です。
キース・へリングの作品に限らず、
確かに、立体作品は360°鑑賞するべきなのですが。
普段はあまり意識できないもの。
しかし、展覧会タイトルに “360°” とあることで、
意識的に、作品をぐるっと周りながら鑑賞することができました。
そのおかげで、キース・へリングがタンクと、
前輪の泥除けにグラフィックを施したバイクの・・・・・
後輪の泥除けに描かれた隠れキャラ (?) を見逃さずに済みました。
さてさて、タイトルの “360°” には、
もう一つ意味が込められているようです。
それは、キース・ヘリングの多角的な芸術性を360°のアングルで再考しようというもの。
それゆえ、一般的な展覧会ではあまり目にしない、
レアタイプのキース・へリング作品が多数紹介されていました。
最後の展示室で紹介されていたのは、来日したキース・へリングが、
東京都多摩市の約500人の子どもたちと共同で完成させた壁画 《マイ・タウン》。
キース・へリングはこんな仕事もしていたのですね。
離れてみれば、完全にキース・へリング作品ですが、彼が描いたのは黒い線のみ。
色が付いている部分は子供たちが思い思いに好きな絵を描いたようです。
中には、絵でなく字を書いた子供も。
まさか、自分の書いた名前が、
遠い将来、美術館に展示される日がこようとは。
この子どもたちは知る由もなかったことでしょう。
多角的といえば、紹介されている作品の中には、
パッと見、キース・へリングっぽくないものも多々ありました。
パッと見、ルオーの版画風のものもあれば、
パッと見、草間彌生さん風のものや、
パッと見、バスキア風のものも。
単純明快に見えて、実は意外と奥が深い。
キース・へリングの新たな一面が知れる展覧会でした。
ちなみに。
生前のキース・へリングの貴重な写真や、
関連資料も、館内では多数紹介されていましたが。
個人的に一番貴重だと感じたのは、こちら↓
来日時、風邪を引いた彼が、
病院から処方された内用薬の袋です。
確かに、そう書くしかないのですが、
「キース へリング殿」 と書かれているのが、なんとも味わい深いです。