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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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テオ・ヤンセン展

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現在、山梨県立美術館では、“テオ・ヤンセン展” が開催中。

「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」 とも称される、

オランダの物理学者にしてアーティストのテオ・ヤンセンの展覧会です。

 

 

 

もし、テオ・ヤンセンの名前は知らなくても、

彼が生み出す 「ストランドビースト」 は、テレビやCMで一度は目にしたことがあるはず。

ストランドビースト=砂浜の生命体。

プラスチックのチューブやペットボトル、結束体など、

身近な素材を組み合わせて作られた生命体を彷彿とさせる作品です。

 

 

 

日本だけでなく、世界的にも人気の高いテオ・ヤンセン。

それゆえ、毎年のように、世界各地で展覧会が開催されていますが、

コロナのせいで、昨年より数多くの展覧会が延期、中止になっているそう。

現時点でテオ・ヤンセンが開催されているのは、

世界中で、ここ山梨県立美術館だけなのだそうです。

飲食店に続き、この展覧会も山梨モデルとなりますように。

 

 

とそれはさておき。

今展のために来日したストランドビーストは全部で12体。

 

 

 

基本的に、美術館で展示されるのは、

化石化した (生命としての活動を終えた) ストランドビーストゆえ、

恐竜や骨格標本のように、静止した状態で展示されていますが。

いくつかのストランドビーストは 「リ・アニメーション」、

つまり、実際に動く様子を目にすることができるものもあります。

 

 

 

例えば、こちらの 《アニマリス・プラウデンス・ヴェーラ》

 

 

 

手前側と奥側の2つの胴体が連結したストランドビーストです。

奥側の胴体にある大きな帆が風を受けることで歩くことができるとのこと。

でも、展示室内でどうやって風を起こすのでしょう?

いえいえ、風がなくても、このビーストは歩くことができるのです。

帆が風を受けると、まずはその空気をペットボトルに溜めます。

そして、圧縮されたその空気を全身のチューブに送り込むことで動くのです。

つまり、自然の風がなくても、人工的に空気をペットボトルに送り込めば動くということ。

と、文字で説明されても、イメージがピンと来ないですよね (汗)

実際に歩いている様子をご覧くださいませ。

 

 

 

風で動くのではなく、風を食べて動く。

ストランドビーストが機械ではなく、生命体であるゆえんです。

 

 

さて、その動き方もさることながら、

ストランドビーストには他にも、生命体ならではの特徴があります。

それは、進化するということ。

はじめは単純な動きしかできなかったストランドビーストですが、

創造主であるテオ・ヤンセンにより、常にバージョンアップが図られることで、

新たな能力を次々と獲得、動きや姿はより複雑なものになっていきます。

会場には、そんなストランドビーストの進化系統図も紹介されていました。

 

 

 

この進化系統図を作ったのも、テオ・ヤンセン本人。

 

 

 

アウルム期、ブルハム期といった時代名や、

ストランドビーストの名前を考えているのも、もちろんテオ・ヤンセン。

ネーミングだけみると、やや中2病を感じますが、

実際にこれらの生命の進化を1人で成し遂げてしまっているのですから、驚きです。

テオ・ヤンセンは、まさに神。

星星

 

 

なお、先ほど紹介した 《アニマリス・プラウデンス・ヴェーラ》 よりも、

進化を遂げているビーストが、こちらの 《アニマリス・オムニア・セグンダ》 です。

 

 

 

歩き方も、かなりダイナミックになっていますが、

《アニマリス・オムニア・セグンダ》 のスゴさは、それだけにあらず!

ストランドビーストの弱点を克服した点にあります。

砂浜を歩くストランドビーストの最大の敵は、水。

このビーストには、センサーが付いており、

水を感知すると自動的に方向転換するのだそうです。

さらに、もう一つの敵である強風に対しては、

頭上のハンマーで杭を打ち、身を守ろうとします。

 

 

 

必死に杭を打ち続けるさまは、なんともけなげ。

ストランドビーストのこの姿を見て、

改めて、僕も頑張って生きようと思いました。
 

 

なお、生命体であるストランドビーストは、繁殖することでもできるそうです。

というのも、テオ・ヤンセンは惜しげもなく、

すべてのビーストの設計図を公開しているのだそう。

動画や展覧会でストランドビーストを目にして、

自分でも作りたくなった世界中の人たちが、新たなビーストを作る。

こうしてストランドビーストは子孫を増やしていくのです。

さらに、ミュージアムショップでは、

小型のストランドビーストを作るキットも販売されていました。

 

 

 

どれを買おうか本気で悩みましたが。

自分は高倉健ばりの不器用ゆえ、

子作りに失敗する可能性が大なので、諦めました。

 

 

ちなみに。

僕が山梨県立美術館を訪れた日はたまたま、

館外で 《アニマリス・オルディス》 を歩かせるというイベントが行われていました。

 

 

 

富士山とストランドビーストの夢の競演です。

ちょうどのタイミングで、良い風が吹いてきたので、

風の力で歩く 《アニマリス・オルディス》 の姿も見ることができました。

最高かよ。

 

 




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