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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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Shock of Dalí ショック・オブ・ダリ

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2年ぶりに、諸橋近代美術館に取材に行ってきました。

こちらは、日本最大級、いや、アジア最大級のダリ美術館です。

 

 

 

 

オンラインイベントでたびたびお世話になっているので、

そこまで、“お久しぶり感” はないつもりで訪れましたが。

 

 

 

いつの間にやら、インパクト抜群のフォトスポットが誕生していました。

 

 

 

ただでさえ、キャラが濃いダリが、

オリジナルの眼帯を着用しています。

パッと見、007シリーズの敵キャラかと思いました。

 

 

ちなみに、諸橋近代美術館のある裏磐梯エリアでは、

今のところ、新型コロナに感染した方はいらっしゃらないようですが。

念には念を入れて、感染症対策はしっかりと行われています。

しかし、そんな中でも遊び心を忘れないのが諸橋近代美術館!

 

 

 

受付では、マスクの上に貼れる “ひげシール” が配布されていました。

老若男女問わずダリ気分が味わえますよ。

 

 

さて、そんな諸橋近代美術館で現在開催されているのが、

“Shock of Dalí ショック・オブ・ダリ~サルバドール・ダリと日本の前衛~ という展覧会です。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

展覧会の前半で紹介されているのは、もちろんダリの作品。

10代20代のダリが描いた初期の貴重な作品や、

シュルレアリスムの新星としてダリが注目を集めた頃の作品など、

諸橋近代美術館の収蔵品を中心に、数々のダリ作品が紹介されています。

 

 

 

どの作品も、ダリ好きにはたまらなかったですが、

あえて1点だけ印象に残ったものを紹介するのであれば、

画面の一番右にある 《蝶と葡萄の風景》 が強く印象に残りました。

 

 

 

DNAの二重らせん構造をモチーフにした作品とのことですが。

その表現が、完全にパズルボブルでした。

まさかダリが日本のゲーム界に大きな影響を与えていただなんて!

 

 

・・・・・・というのは、僕の妄想にすぎませんが。

実は、ダリは戦前から戦後にかけて、

日本の若い前衛芸術家たちに大きな影響を与えていました。

そのムーブメントに関して、美術評論家の瀧口修造はこう述べています。

 

image

 

 

展覧会の後半で紹介されているのは、

そんなダリに影響を受けた日本の芸術家たちの作品の数々です。

 

 

 

ダリの影響をモロに受けた画家もいれば、

(タイトルも 《女性的パラノイア》 とモロにダリ)
 

 

 

ダリのエッセンスを取り込んだうえで、

自分なりのシュルレアリスムの世界を作り出した画家も。

 

 

 

ダウンタウンさんの登場に衝撃を受けた芸人が皆、

その影響をモロに受け、いわゆるダウンタウン病に罹ってしまったように。

この当時、多くの日本人芸術家がダリ病 (?) に罹っていた。

その事実を通じて、改めて、ダリのスゴさを実感させられます。

テレビもネットもない時代、雑誌や画集だけで、

遠い異国の若い画家に影響を与えていただなんて。

星星

 

 

さてさて、もちろんダリもスゴいのですが、

日本の前衛画家たちの中にもキラリと光る才能の持ち主が多々いました。

 

まず紹介したいのが、渡辺武。

29歳という若さで沖縄で戦死してしまったこともあり、

その作品数は少なく、これまであまり大々的に紹介される機会もなかったそうです。

 

 

 

《祈り》 と題されたこの作品の中には、

ダリがたびたび描くモチーフである蟻や卵、インゲン豆 (?) が描かれています。

さらに、ダリがよく引用していたミレーの 《晩鐘》 を想起させる人物の姿も。

また、空に浮かぶ雲は、人の横顔 (ジョージ・ワシントン?) にも見えます。

ダリが得意としたダブル・イメージです。

と、ダリ要素が満載なのに、単なるパクリには思えないのは、

独特の抒情性、ストーリー性が絵から感じられるからでしょう。

不条理な短編映画を1本観たくらいの充足度のある絵でした。

 

 

続いて紹介したいのが、浅原清隆。

 

image

 

 

この方も、第二次世界大戦中に、

戦地で亡くなってしまったのだそうです。

鳩になって飛び立とうとするリボン。

仔犬へと変化するハイヒール。

どちらかといえば、ダリっぽいというか、マグリットっぽいような。

ちなみに、よーく見ると、バイクに乗った女の子が小さく描かれています。

実は今、放映中の 『スーパーカブ』 というアニメの影響で、

「少女×バイク」 という組み合わせが注目を集めているのだとか。

もしかしたら、この 《多感な浄土》 もバズるかも。

 

 

ダリに影響を受けた日本の画家は多々いますが、

『日本のダリ』 と実際に呼ばれていたのが、今展のトリを飾る古沢岩美です。

 

 

 

確かに、ダリの影響は感じられましたが、

ダリの影響がもっと感じられる画家は他にいたので、

そこまで “日本のダリ” ではなかったような・・・。

こちらの 《憑曲》 という作品に関しては、

ダリの世界というより、寺沢武一の 『コブラ』 の世界でした。

 

 

最後に紹介したのは、こちらの 《蜃気楼》 という作品を描いた画家です。

 

 

 

砂漠の奥から顔をのぞかせる富士山。

空に浮かび上がる木目。

マン・レイの影響を受けたのが、

空には赤い唇も浮かんでいます。

この独特な感性が溢れる作品を描いた画家の名前は、浜田浜雄。

何その、犬山犬子みたいな、フニャコフニャ夫みたいな作家名は?!

・・・・・・と思ったら、本名とのことでした。

むしろ独特な感性を持っているのは、

浜田浜雄よりも、そう名付けた親のほうかも。

 




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