1947年から続く、資生堂ギャラリーの伝説的なグループ展。
それが、椿会です。
これまでに参加した作家は、計86人。
横山大観、藤田嗣治、熊谷守一、梅原龍三郎、奥村土牛・・・etc
そうそうたる芸術家が、椿会に参加してきました。
2017年に第七次メンバーによる椿会が開催されたのを最後に、
椿会は沈黙を続けていましたが、今年2021年にいよいよ再始動!
第八次メンバーによる椿会がスタートします。
メンバーは、杉戸洋さん、中村竜治さん、Nerhol、
ミヤギフトシさん、宮永愛子さん、目[mé] の6人(組)。
過去の椿会と違って、ユニットやグループが加入しているのが特徴です。
また、メンバーに建築家が加わっているのも新鮮。
一体、どんな椿会になるのか、
このキャスティングだけでワクワクさせられます。
なお、第八次椿会は、今年から2023年まで、
1年ごとにテーマを変えて、開催されるのだそう。
題された今年2021年のテーマは、『触発/Impetus』。
資生堂のアートコレクションの中から、
メンバーが “あたらしい世界” を触発される作品を選び、
自身の作品とともに紹介しています。
どの作品の組み合わせも印象的でしたが、
中でも強く印象に残っているのは、中村竜二さんの作品です。
《関係》 という作品名のキャプションが、
会場の壁に掲示されているも、それらしい作品は発見できず。
途方に暮れていると、ギャラリーの人が、
「この塀のような高さの壁が作品ですよ」 と教えてくれました。
高さは1.55m。長さは8.14m。
ギャラリーのもともとの壁と同じ素材、
同じ色をしており、まるで擬態をしているような作品です。
中村さんはこの作品を置くことで・・・・・
《関係》 の向こう側にある三輪美津子さんの絵画作品と、
訪れた人の間に、何かしらの関係を生み出そうとしています。
確かに、絶妙な高さの設定ゆえ、
見えそうで見えないもどかしさのようなものを感じました。
また、《関係》 の上には・・・・・
内藤礼さんの 《ひと》 が置かれています。
大きさも、その佇まいもさりげないのですが、
《ひと》 がここにあるだけで、空間が詩的になっていました。
そういう “ひと” に私もなりたい。
もう一つ印象的だったのが、杉戸洋さんの作品と、
畠山直哉さんが撮影した 《赤瀬川さんのアトリエ》 の組み合わせです。
キャプションでは、《おきもの》 となっていますが。
写真に合わせて、杉戸さんが選んだのは、
自分の家の棚に長年置いてあったというただの石。
あってもなくても良いものなのだそうですが、
長年捨てられず置きっぱなしにしていたのだそう。
今回ピンとくるものがあり、この場所に展示してみることにしたのだとか。
もし同じことを、若手の芸術家や一般人がしたなら、
「それのどこがアートやねん!」 とツッコまれてしまいそうですが。
杉戸さんがやると、ちゃんとアートに感じられるから不思議なものでした。
ちなみに。
2019年の千葉市美術館での初個展で、
大きな話題となった目[mé] の3人は・・・・・
今回の椿会でも、見た目は何気ないのですが、
その仕掛けに気づくと、思わずハッ、ゾワッとさせられる作品を発表しています。
ネタバレすると面白味が半減するので、詳細を述べるのは自粛。
是非、会場でお楽しみくださいませ。
作風がまったく違う6人 (組) なのに、
不思議と作品がまとう雰囲気や空気感が共通していました。
家族とまではいいませんが、親戚くらいには似ています。
それゆえ、フォトセッションで撮影した写真は、
まるで年始に集まって撮影した親族写真のようでした。
このメンバーでお届けされる第八次椿会。
早くも来年、再来年の展示が楽しみです。