えー、間もなくオリンピックの開会式が始まります。
読者の皆様がこの記事をお読みになっている時間によっては、
開会式の最中か、もしくは開会式はすでに終わっているかもしれませんが。
さて、それにちなんで、本日はそんなオリンピックに関する展覧会、
日本科学未来館で開催中の “超人たちの人体” を紹介したいと思います。
こちらは、世界の頂点を極めたトップアスリートたちにスポットを当て、
その能力の秘密を、最新の科学技術をもとに解き明かす展覧会です。
まず、紹介されていたのは、“人類最速の男” ことウサイン・ボルト。
彼が2009年に樹立した100m 「9秒58」 という記録は、
10年以上たった現在も、まだ塗り替えられていません。
なお、この9秒58という記録を人類が到達するのは、
当時の科学のシミュレーションによると、2039年と予測されていたとのこと。
それを、30年も早めてしまうだなんて。
未来からやってきたターミネーター的な存在なのかもしれません。
と、それはさておき。
ボルトが足が速いのは、恵まれた体型によるものと思いきや、
実は、脊柱側わん症というハンディキャップを背負っていたのだそうです。
背骨が右に曲がっているため、動作の左右バランスに影響があるのだとか。
日常生活ではそこまで大きな支障はないものの、
100分の1秒を競うスプリンターにとっては大きなハンディキャップ。
そのハンデと闘いながら、いや、
むしろそのハンデを逆手にとって、左脚の大きな歩幅へと繋げたのだそう。
それを知った上で、あの大記録を樹立したのかと思うと、
今さらながら、ボルトの偉業に心を震わされるものがありました。
さて、こちらは、ボルトが100mを走っている際の歩幅を再現した展示。
最高速に達した時点での歩幅は、
なんと2m75cmにも達するのだそうです。
走っているというよりも、もはや飛んでいるレベル。
地球上ではなく、月面を移動しているようです。
会場の一角では、自分の脚力を、
ボルトと比較することができるコーナーも。
何をどう考えても、落ち込むだけなので、
やりたくはなかったのですが、スタッフさんに勧められ、体験してみることに。
こちらの椅子に座り、片方の足に、
センサーのついたベルトを巻き、力いっぱい足を伸ばして計測します。
On Your Mark.
全身全霊で足を伸ばしたところ、43㎏という記録が出ました。
女性スタッフさんたちが嬉しそうに、
「スゴいですね!私たちは10㎏でしたよ!」 と仰ってくれたので、
“まぁ、一応毎日フィットネスはしてるからね。ふふん♪” と悦に入っていたのですが。
「ちなみに、ボルトの記録は何㎏なんですか?」
と尋ねてみたところ、「127㎏ですよ」 との答えが返ってきました。
ボルトの3分の1かよ・・・・・。
先ほどまで悦に入っていた自分が恥ずかしくてなりません。
僕が調子に乗っていた時間は、ちょうど9秒58でした。
さてさて。
ボルトの次に紹介されていたのは、
パラリンピックアスリート、タチアナ・マクファーデン。
複数の夏季・冬季パラリンピックで、
何種目ものメダルを獲っている車いすアスリートです。
彼女が樹立した様々な偉大の記録の中に、
車いす400m、51秒90というものがあります。
この記録がどれだけスゴいものなのか。
そもそも、車いすレースがどんなものなのか。
いまいちピンと来なかったのですが、
こちらでも、スタッフさんに勧められるままに体験することに。
巨大なスクリーンの前に置かれた車いすに座ると、
陸上競技場のレーンにいる視点の映像に切り替わりました。
その画面と車いすが連動しており、
車輪を両腕で回すと、その動きに合わせて進みます。
その100m走り切る時間を測るという体験コーナーです。
On Your Mark.
車いすに乗ったのは人生で初めて。
まぁ、車輪を回すだけだから、
楽だろうと高を括っていたのですが。
これが思いのほか、過酷な作業で・・・。
最初こそ余裕でしたが、中盤から、
体力が奪われて、思うように車輪を回せません。
ぶっちゃけ、上腕二頭筋がパンパンゆえ、途中で投げ出したかったのですが、
女性スタッフさんたちに、「早いです!」 とか、
「あと25mです!頑張ってください!」 と言われ、
引くに引けず、三重と根性でなんとか100mを走り切りました。
記録は42秒。
二の腕に乳酸が溜まりきって、上にあげられる気がしません。
へとへとになり、車いすを降りようとした次の瞬間、
画面が切り替わり、再び100mレーンのスタート地点へ。
「もう一回やれというのか (泣)」 と絶望しかけましたが、
どうやら今度はマクファーデンの100mの速さを追体験する映像が流れるようです。
その記録は、なんと16秒13。
速すぎ!
車いすというか、バイクの車載カメラの映像のようでした。
最後に紹介されていたのは、ケレブ・ドレセル。
あのマイケル・フェルペスが樹立した、
競泳バタフライ100mが世界記録を10年ぶりに塗り替えたアスリートです。
水泳は小学生の時に数年ほど習っており、
市の代表になった経験もあるため、陸上競技よりは自信があります。
今回こそは記録を作ろうと、意気込んで体験コーナーへ。
用意されていたのは、ドレセルの跳躍力に挑むというものでした。
そんなに水泳、関係ないような・・・。
しかも、垂直跳びの記録を機器で測るだけ。
ただのスポーツテストじゃん。
ちなみに、ドレセルの75.3㎝という記録に対し、
僕が出した記録は45㎝と、一般平均以下のものでした。
やんなきゃよかった。
展覧会はこの後、1階のメイン会場から、
7階に移動し、シアター映像でフィニッシュ。
アスリートの肉体を科学的に紹介。
さらに、体験コーナーも用意されていたのは、興味深い内容ではありましたが。
率直な感想としては、超人が3人だけというのは。。。
できれば、大谷翔平とか内村航平とか、
アスリートではないですが、藤井聡太とか、
今を時めく、日本人に身近な人物のバージョンも欲しかったです。
展覧会としては金メダルというよりも、銅メダル。