この夏、東京ミッドタウンホールでは、
“北斎づくし” という展覧会が開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
北斎づくし。
そのタイトルだけ耳にすると、
なんとなくスシローの期間限定メニューのような印象も受けますが (←?)。
もちろんスシローはまったく関係ありません!
生誕260年を迎えた葛飾北斎をフィーチャーし、
北斎の作品だけで構成された北斎100%の展覧会です。
展覧会の冒頭を飾るのは、『北斎漫画』。
北斎のライフワークともいうべき絵手本です。
これまであまたの展覧会で展示されてきたので、
『北斎漫画』 自体は、それほど珍しくないですが。
今展では、1500冊以上 (!) の北斎漫画を所有する浦上蒼穹堂代表、
浦上満氏の全面協力により、初編から15編までの全巻全883ページが展示されています!
これは日本初どころか、おそらく世界初の試み。
その物量に、思わず圧倒させられました。
そんな大量の 『北斎漫画』 で満たされた什器の柄も 『北斎漫画』 なら、
床や壁一面もすべて 『北斎漫画』 柄でした。
このまさに北斎づくしな空間を設計したのは、
国際的に活動し、今最も注目を集める建築家・ 田根剛氏。
北斎の作品はもちろんのこと、北斎に囲まれる空間体験も楽しめる展覧会です。
さらに、会場には 『北斎漫画』 の他にも、
北斎が挿絵を手掛けた読本 『新編水滸画伝』 や 『椿説弓張月』 全巻や、
北斎の代表作中の代表作 《冨嶽三十六景》 全図、
《冨嶽三十六景》 に飽き足らなかった北斎が、
さらに様々な富士山の姿を描いた版本 『富嶽百景』 全巻全ページも展示されています。
これを “北斎づくし” と言わずして、
何を “北斎づくし” と言いましょうか!
また、『江戸時代の「踊ってみた」』 や、
『江戸の「聖☆お兄さん」!?』 といった具合に、
キャプションがキャッチーであるため、
普段のスルーされがちな版本もちゃんと興味が持てるようになっています。
浮世絵の数こそ少なめですが、満足度は高い展覧会でした。
なお。
個人的に一番印象に残っているのは、
「Digital Hokusai」 と銘打たれたコーナーです。
こちらは 『北斎漫画』 や 《冨嶽三十六景》 といった、
北斎の作品の高精細アーカイブデータを用いた超没入シアター。
この展覧会のためにに設計された壁面の大型スクリーンと、
空間中央の和紙製の特製スクリーンに映像が上映されます。
ぶっちゃけ、そんなに期待してなかったのですが、
立ち止まって見入ってしまうほどに、よく出来た映像でした。
巨大映像で迫るナントカよりも、こちらの映像のが良く出来ていたような・・・。
さてさて、注意書きにいたるまで、
北斎が徹底されていた “北斎づくし”。
展覧会グッズも当然、北斎づくしです。
ポストカードやマグネット、Tシャツ・・・
などなど、気になるグッズは多々ありましたが。
中でも最も度肝を抜かれたのが、図録です。
ポスターにしか見えませんが、これは図録。
ダイナミックな北斎の絵とこの展覧会に触発されて、
ブックデザイナーの祖父江慎さんがディレクションしたダイナミックな図録です。
その大きさは、なんと新聞サイズ!
今展に出展された全作、全編、全ページが掲載されています。
持ち帰るのもなかなか大変でしたが、家で広げるのもなかなか大変 (狭い家ゆえ・・・)
ダイナミックにもほどがある図録です。