現在、東京藝術大学大学美術館で開催されているのは、
“藝大コレクション展 2021 I期 雅楽特集を中心に” という展覧会。
日本の美術大学の最高学府・東京藝術大学が所蔵する、
約3万点のコレクションの中から、国宝に指定されている 《絵因果経》 や、
10年ぶりに出展となる竹内久一の 《伎芸天》 を筆頭に、
名品の数々を紹介する展覧会です。
それだけではただのコレクション展ですが (←?)、
今展では特に 「雅楽に関連する作品」 にスポットが当てられています。
・・・・・・・・雅楽。
その単語を聞いて、東儀秀樹さんと、
カニササレアヤコくらいしか思い浮かびませんでした。
そういえば、雅楽って何でしょう??
展覧会の説明によると、雅楽とは、
『千年以上前にアジア大陸から伝来した器楽や舞』 とありました。
雅楽に関連する作品なんて、そんなに数はないでしょうし、
あっても、地味でしょうし、そこまでこの特集展示には期待していなかったのですが。
雅楽の楽器の名品が紹介されていたり。
雅楽の楽器が登場する絵が紹介されていたり。
楽器と楽器が描かれた絵を合わせて展示させてみたり。
想像以上にバリエーションのある特集展示でした。
何より興味深かったのは、さすが千年以上の歴史があるだけに、
雅楽の楽器が描きこまれた日本美術作品が意外と多いという事実です。
例えば、代表的な仏画の一つである来迎図。
極楽への往生を願う人の臨終に際して、
その人のもとへとやってきた阿弥陀様を描いた図です。
ついつい阿弥陀様にばかり目が向いてしまいますが、
叶姉妹におけるグッドルッキングガイのようなお付きの菩薩集にご注目。
実は雅楽の楽器を手にしています。
臨終の際に阿弥陀様たちは、
わりと賑やかにやってくるのですね。
また、例えば、百鬼夜行図。
長年使われた道具は妖怪 (=付喪神) になりがち。
絵巻の中では付喪神となった琵琶や筝が描かれています。
なお、雅楽とは直接関係はないですが、絵巻の中には、
付喪神となった鰐口 (=仏堂の軒先に吊り下げられた仏具の一種) も。
鰐口だから、体が鰐なのでしょうが。
クリーチャー感が半端じゃありません。
『バイオハザード』 に出てきてもおかしくないレベル。
もとは、仏具だったのに。。。
と、それはさておき。
これまでほとんど知る機会のなかった雅楽について、
知識と興味がそれぞれレベルアップすることができる展覧会でした。
ちなみに。
今展の出展作品の中で、もっとも印象に残っているのは、
平安時代の貴族・藤原貞幹による 《信西古楽図》 の摸本です。
雅楽をはじめ、平安時代の諸芸能が描かれている巻物です。
平安時代の芸能なんて退屈そう・・・・・と思いきや!
なんかわりと楽しそうでした。
東京オリンピックの開会式よりも面白そうです。
個人的に一番気になったのは、抜頭なる演目。
想像以上に髪が抜けてます。
だから何?!
平安時代の笑いは、シュールだったようです。
また、展覧会では、雅楽の衣装も展示されていました。
意外とスケスケ。
ビブスくらいにスケスケ。