2011年に目黒区美術館で開催された展覧会 “包む-日本の伝統パッケージ”。
グラフィックデザイナーの草分け的存在であった岡秀行 (1905~1995) が、
その素朴な造形美に魅了されて収集した日本各地の伝統パッケージを紹介した展覧会です。
鱒寿司の曲げわっぱであったり、虎屋の羊羹の包装であったり。
普段だったらあまり気にも留めない品々に目を向けた斬新な展覧会でした。
そんな伝説の展覧会が、10年ぶりに復活!
伝説の岡秀行コレクションはそのままに、展示スタイルを変え、
2021ver.の “包む-日本の伝統パッケージ” として開催されています。
まず何より2011年開催時と大きく違うのは、
展覧会場での写真撮影が可能となったこと。
ただし、写真撮影が可能なのは、
館内2か所に設置された四角い枠の中からのみ。
これは引きでしか撮らせないというイジワル (?) ではなく。
伝統パッケージをなるべく展示ケースに入れず、むき出しで展示したいがため。
パッケージはあくまでパッケージ。
美術作品とは違い、展示される前提で作られていないため、
劣化しやすく、万が一、撮影中にスマホがパッケージの上に落ちてしまったら、
それを修復するすべが無いので、断腸の思いで写真撮影個所を制限しているとのこと。
どうしても接写で写真を撮りたいパッケージがあったら、
それはぜひ心のカメラで撮影してくださいませ、てか、実際にパッケージを購入してくださいませ。
ちなみに。
たくさんの伝統パッケージが紹介されていましたが、
個人的に一番印象に残っているのは、茨城県の日本酒・一人娘のパッケージです。
本物の稲穂を使用した大胆過ぎるデザイン。
日本酒が米から作られているという事実を強烈に実感させられます。
もし、おつまみがなくなったら、この米を精米して、
炊くなり煮るなりすれば、なんとかなるかもしれませんね (←?)
また、藁を使った伝統パッケージといえば、こんなものも。
横に並べた5つの卵を藁で包み、
持ち運べるようにした 「卵つと」 です。
この発想は世界広しといえど、日本だけなのでは?
発想力もさることながら、純粋に造形としても美しい。
まさに機能美です。
なお、「卵つと」 の隣に掲げられた・・・・・
包むことについて考えるのは、
人間の生活のすべてについて考えることに他ならない
とは、岡秀行が残した言葉。
若干大げさすぎる気もしますが、岡は本心からそう考えていたそうで、
日本独自のこの “包む” という文化を展覧会や写真集の形で世界に発信していました。
そんな岡の功績によって、「TSUTSUMU(包む)」 は海外でも通じるほどになったそう。
日本で生まれ、長らく日本で育ったため、
モノが何かに包まれているということに何の違和感もなかったですが。
改めて、考えてみると、実は世界的には普通ではないのかも。
包装紙があって、その中に箱やら何やらパッケージがあって、
その中にまたさらに個包装されたお菓子が入っているだなんて、普通ではないのかも。
そうそう。
日本ならではの包む文化といえば、こんなものも。
おひねりです。
海外はチップの文化ゆえ、お金をそのまま渡しますが、
日本ではこのようにおひねりやポチ袋、祝儀袋などに入れて渡します。
いわゆる、お金を “包んで” 渡すというものです。
包まないお金=裸。
今日の今日まで何の違和感もなかったですが、
ただのお金を裸と捉える国って、日本だけではなかろうか。
“包む” という行為を通して、日本人としてのアイデンティティをも見つめ直す。
10年ぶりに観ても、いろいろと発見のある展覧会でした。
ちなみに。
会場には、こんなパッケージも。
「カステラ一番、電話は二番」 でおなじみ、
三時のおやつは文明堂のカステラのパッケージです。
何用なのか不明ですが、とにかく巨大なパッケージでした。
どれくらい大きいかわかるように、
同行したタレントの國領浩子さんに立って頂くことに。
大食いYouTuber用のサイズです。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!