イタリア・ボローニャのブックフェアが主催する絵本原画の国際コンクール。
それが、ボローニャ国際絵本原画展。
絵本作家の登竜門ともいうべき、伝統あるコンクールです。
残念ながら、ぜんぶコロナのせいで、
昨年に引き続き、ボローニャのブックフェアは中止に。
しかし、ボローニャ国際絵本原画展に関しては、
史上初のオンラインでの募集・審査に踏み切ったとのこと。
世界中の絵本作家の皆様もステイホームしていたからでしょうか、
今年は、昨年の2574組から大幅アップの3235組の作家からの応募があったそうです。
その中から厳選された入選作品を紹介する、
“イタリア・ボローニャ国際絵本原画展” が、現在板橋区立美術館にて開催されています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
今年入選したのは、世界23カ国76作家。
傾向としては、昨年に引き続き、
韓国の作家の活躍が目立っているそう。
次いで、台湾の作家も台頭してきているとか。
日本人作家も8名が入選しており、アジア勢が大健闘しているようです。
さて、入選作品の中で印象的に残ったものを、
いくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
まずは、独特の絵のタッチが印象的だった絵本、
マリア・ホセ・デ・テジェリア (アルゼンチン) の 『かくれた夜』 から。
初めて目にする画風なのに、
どこかで目にしたことあるような。
おそらく本人は意識してないでしょうが、
しりあがり寿さんのテイストに通ずるものがありますね。
あと、懐中電灯を顔の下から照らすというのは、全世界共通なのですね。
続いては、ソリン・セクール (メキシコ) の 『さよなら』。
5点の原画に付けられたタイトルがすべて 《無題》 だったので。
ソリン・セクールさんが何を表現したのか、
本当のところはまったくわからなかったですが。
夜空に浮かんだコイツは、
アクアフレッシュにしか見えませんでした。
何もこんなに出さなくても (←?)
お次は、マジート・ファハールザヴァーレ (インド) の 『ハト先生と空飛ぶキリンたち』。
可愛らしい印象の絵本のタイトルとは裏腹に、
絵のタッチは、さいとうたかを先生ばりにハードボイルドでした。
ちなみに。
この絵に添えられたタイトルは・・・・・
「彼の名前はジョギー。ハト先生の診療所で働く看護師だ。」 でした。
鳥の手が人間の手になっているのは、百歩譲ってスルーしたとして。
何も指毛と手の甲毛をリアルに描かなくたって。。。
ジョギーのインパクトを薄めるためにも (?)、
可愛らしい絵柄の絵本をご紹介いたしましょう。
こちらは、あお木たかこさんの 『ABC』。
AはArtのA、NはNatureのNのように、
アルファベットの文字を紹介する知育絵本です。
ページによっていろんな技法が使われている上に、
絵の隅々まで作りこまれているので、いつまでも観ていられます。
しかも、可愛い!
特に 「CはCatのC ねこたちはとてもかわいくていつもじゆう」 の可愛さにやられました。
可愛いといったら、こんな作品も。
マリアノ・アラミ (アルゼンチン) の 『かわいいどうぶつたち空を飛ぶ』 です。
どれだけ可愛い動物が空を飛んでいるのかと、
期待に胸を膨らませて、原画に近寄ってみたのですが。
それほどまでには、可愛くはなかったです (笑)
可愛いって自分で言っちゃうヤツは、そんなに可愛くない。
そういうものです。
他にも、刺繡で動物を表現した原画や、
たぶん100日後に死なないワニが登場する絵本など、
他にも印象に残った絵本や原画は多々ありますが。
最後に紹介したいのは、ゴーシャ・ヘルバ (ポーランド) の 『えかきさん』 のうちの1枚。
怪獣が絵描きさんに何か尋ねているようです。
この原画には、こんなタイトルが付けられていました。
「東京はどっちですか?」
ポーランドの人から見ると、
“東京=ゴジラ” なのでしょうか。
わざわざ絵描きさんに質問してでも、東京を目指すゴジラ。
迷惑極まりない存在です。
ちなみに。
“ボローニャ国際絵本原画展” と連動して、
会場の一角では、“特別展示 レオ・レオーニ作品受贈記念展” も開催中。
さらに、今年から 「絵本のまち板橋」 となった板橋では、
今展の会期に合わせて、周辺地域で絵本に関するイベントが開催されています。
絵本好きの皆様は、一日かけてゆっくり、
ボローニャ絵本さんぽをしてみてはいかがでしょうか。