国際的に活躍した現代美術キュレーター、ヤン・フートと、
ワタリウム美術館がタッグを組み、青山エリアで1995年に開催された “水の波紋95”。
あの伝説の展覧会がこの夏、“水の波紋展2021” として26年ぶりに復活しています!
舞台となるのは、26年前と同じく青山エリア。
といっても、表参道のメインストリートや、
青山通りといった多くの人が行き交う場所ではなく。
表通りから見えない小道やビルの屋上看板など、
普段あまり歩かない、あまり目を向けない、
都市の裏側というべき場所にあえて作品が設置されています。
なお、参加しているアーティストは27組。
その中には、.デイヴィッド・ハモンズや、
ビル・ウッドロウのように、“水の波紋95” に参加したアーティストも。
“水の波紋95” で発表された作品が、
26年ぶりに青山エリアに、しかも、別の場所に設置されています。
“水の波紋95” をかつて観たことがある方も、
その際とはまた違った印象を彼らの作品から受けるはずです。
ワタリウム美術館や岡本太郎記念館など、
一部有料の施設にも作品が展示されていますが。
基本的には、無料で楽しめる展覧会となっています。
作品は点在しているので、頑張って1日で巡るもよし、
数日かけて、ゆっくりコンプリートするのもよいかもしれません。
会期中、毎日19時まで開催されているようなので、
個人的には、夕方以降に巡られるのをお薦めいたします。
さて、ここからは個人的にオススメな作品をご紹介いたしましょう。
まずは、渋谷区役所第二美竹分庁舎で展示中の作品群の中から、
竹川宣彰さんの 《猫オリンピック:開会式》 をご紹介。
実はこちらの作品は、2019年の森美術館での展覧会にも出展されていました。
その際は、観客を埋め尽くす猫がカワイイなぁくらいにしか感じていませんでしたが。
あれから、なんやかんやあった今改めて、この作品を目にすると、
人間が不在であることに、何やら予言めいたものさえ感じてしまいました。
と、同時に、どうせ無観客でオリンピックをするのであれば、
この作品みたいに観客席にたくさんのネコを入れたらよかったのに、とも思いました (←?)。
続いては、国立競技場のほど近く、
ビクター青山ビル横の空き地を使った作品をご紹介。
フランス人アーティスト、ファブリス・イベールによる 《たねを育てる》 プロジェクトです。
なんでも19世紀のパリでは、街中で果物や野菜が育てられ、
人々はそれらの果物や野菜を自由に採って食べていたのだとか。
それを21世紀の東京でやってみようというもの。
なお、育てられているのは、江戸野菜なのだそうです。
ちょうど訪れた時には、美味しそうな茄子が実っていました。
・・・・・と、採っちゃっていいのだろうか??
一瞬、茄子を持ち帰ろうか悩みましたが、
『火垂るの墓』 状態になるのもなんなので、自粛しました。
なお、個人的にもっとも印象に残っているのは、
神宮前の住宅街にぽっかりとある巨大な空き地を使った作品です。
この広大な空き地がSIDE COREによって、アートでストリートな空間へと変貌しています。
中でも一番目を惹かれたのが、こちらのゲートでした。
その名も、《TIME GATE》。
街中でよく目にするタイムズパーキングの看板で作られたゲートです。
ただの見た目インパクト重視の作品かと思いきや。
古い建物が壊され、のちにその場所に新しい建物が建てられる。
その繋ぎで街に現れるコインパーキングを、
「あいだの時間」 という風に捉えているとのこと。
つまり、このタイムズパーキングのゲートは、
コロナ禍や東京オリンピックというカオスな現状と、
次の時代とを繋ぐ、「あいだの時間」 を象徴しているのだそうです。
なんか深い!
これからタイムズパーキングを見る目が変わりそうな気がします。
最後に紹介したいのは、梅沢和木さんの 《くじら公園アラウンドスケープ画像2021》 です。
相変わらず梅沢さんの作品もカオスでしたが。
それ以上に、梅沢さん作品が設置されている公園、
北青山三丁目児童遊園、通称 “くじら公園” がかなりのカオスっぷりでした。
スライスされたかのように薄いクジラとか。
生首のように晒された青い犬 (コアラ?) とか。
まるで高熱で寝込んだ日に見た夢の中の光景のよう。
“水の波紋展2021” で観たどの作品よりも、インパクトがありました。
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