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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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加藤翼 縄張りと島

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現在、東京オペラシティ アートギャラリーでは、

“加藤翼 縄張りと島” という展覧会が開催されています。

こちらは、国内外で活動するアーティスト・加藤翼さんの美術館初個展です。

 

 

 

加藤翼さんの代表的な作品といえば、「Pull and Raise」 シリーズ。

加藤さんの呼びかけによって集まった人々が、

巨大な構造物を引き倒したり、引き起こしたりする様子を記録した映像作品です。

 

 

 

木材や瓦礫などで作られた巨大な構造物を、

クレーンや電動ウィンチといった動力は一切使わず、

ロープを使い、人力だけで引き倒す、または引き起こす。

ただそれだけのシンプルな内容なのですが。

その引き倒される、引き起こされる一部始終を観終えると、

まるでスポーツを1試合観戦したような高揚感、達成感が味わえます。

 

冷静に考えたら、巨大な構造物を引き倒すこと、

引き起こすことには、特に意味は無いわけなのですが。

誰一人として、「何でこんなことしてるんだろう??」 という表情は浮かべておらず。

しかも、目標を達成した際には、皆が本心から喜んでいるのが伝わってきます。

もしかしたら、今も各地に残る伝統的な祭りというのは、こんな風に始まったのかも

過去にも加藤翼さん的な人がいて、

その人物が村の人々を巻き込んで行ったプロジェクト (?) が定着したものなのかも。

「Pull and Raise」 シリーズを観ていたら、

そんなことを想像 (妄想?) してしまいました。

 

 

なお、展覧会の会場では、ただ映像を流しているだけでなく。

「Pull and Raise」 シリーズの世界観が味わえるように・・・・・

 

 

 

巨大な構造物があちこちに配置されていました。

 

 

 

頭で思い浮かべていたものよりも、大きめ。

映像だけではどうしてもスケール感が伝わらないですが、

実際の構造物を目の当たりにしたことで、改めて皆さんの頑張りが伝わってきました。

こんな巨大なモノを引き倒した、引き起こしただなんて。

童話の 『おおきなかぶ』 しかり、毛利家の 「三本の矢」 の逸話しかり。

一人ではできないことも、複数人が集まって協力すれば達成できる。

そんなことを再確認できる展覧会でした。

コロナ禍で人と人が集まり辛くなった今だからこそ観ておきたい展覧会でもあります。

星

 

また、会場のいたるところには、

「Pull and Raise」 シリーズの世界観を再現した立体作品も。

 

 

 

映像作品を観た後に、これらの作品を観ると、

不思議とミニチュアの人々たちを応援したくなりました。

 

 

ちなみに。

複数人が頑張る映像作品には、こんなパターンのものも。

 

 

 

タイトルは、《Woodstock 2017》

ロープで縛り合わされた4人の男性が、

アメリカの国歌 『星条旗』 を演奏するというものです。

ロープで全員が繋がっているせいで、

誰かが演奏すれば、その影響がもろに他のメンバーに。

 

 

 

なんとか演奏を成立させようと試みるのですが、

彼らが真剣であれば真剣であるほど、可笑しさが込み上げてきました。

深夜番組で若手芸人がやらされていそうな企画です。





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