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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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アンフレームド 創造は無限を羽ばたいてゆく

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東京都渋谷公園通りギャラリーで開催中の展覧会、

“アンフレームド 創造は無限を羽ばたいてゆく” に行ってきました。

 

 

 

普段は、そんなに混雑していない東京都渋谷公園通りギャラリーですが。

この日は、建物の外が多くの人で賑わっていました。

 

 

 

“え?そんなに大人気の展覧会なの??” と思ったら、

ギャラリーのある渋谷区立勤労福祉会館の2階が、若い人向けのワクチン接種会場とのこと。

あのニュースで話題の。

報道陣も多く来ており、普通に展覧会を観るために、

館内に入ろうとしたところ、「抽選に受かったんですか?!」 とカメラを向けられました。

いや、違いますよ。

 

 

と、話を展覧会に戻しまして。

こちらは、国内外で活躍する11人のアール・ブリュットの作家、

すなわち既存の美術の世界の枠に捉われない 「アンフレームド」 な作家を紹介する展覧会です。

個性的な作家が多々紹介されていましたが、

まず個人的に惹かれたのは、北海道在住の佐藤朱美さん。

 

 

 

18歳の頃から母の薦めで絵を描き始め、

以来、ほぼ毎日のように制作を続けているそうです。

モチーフとなるのは、象や鳥、魚といったさまざまな生き物。

 

 

 

特に下描きなどはせず、頭の中に生まれてくるイメージに従って描いているのだそうです。

 

 

 

また、何より特徴的なのが、その描き方。

絵の具をパレットに出すのではなく、

左手に持った絵の具を絞りながら、直接筆で付けて描くのだとか。

この絵の独特の色合いは、その技法だからこそ生まれるものなのだそうです。

 

 

続いて印象的だったのが、清野ミナさん。

 

 

 

地図が好きだという彼女は、シャーペンでまず区画のようなものを描き、

そして、その中をアルコールマーカーで埋めていく作品を制作しています。

引きで観ても、描写が細かいであろうことはなんとなく伝わってきますが。

近づいて観てみると、その予想の何倍も描写が細かかったことに驚かされます。

 

 

 

これだけカラフルなのに、目がチカチカしないのは、

清野さんのカラーセンスが絶妙だからゆえでしょう。

先ほどの佐藤さんの作品同様に、

飽きずにずっと観ていられる作品です。

 

 

カラフルといえば、阿山隆之さんの作品も。

 

 

 

阿山さんは、木材をキャンバスにするアーティスト。

まず電熱ペンで太い輪郭線を描き、

その中を色鉛筆で彩色しているのだそうです。

 

 

 

色鉛筆とは思えない力強さ。

ラスコーの洞窟壁画のようなプリミティブさがあります。

阿山さん本人は意図してないでしょうが、何かしらの魔除けになりそう。

 

 

展覧会の性格的に、インパクトが強い作品が多かったですが、

中でもとりわけインパクトがあったのは、門山幸順さんの作品です。

 

 

 

門山さんがこれらの奇妙な造形物を作るようになったのは、お孫さんが1歳を迎えた頃とのこと。

街中のおもちゃ屋さんを巡ったものの、

どうしても孫にプレゼントしたいおもちゃが見つからず。

ならば、自分で作ってみようと思い立ったのがそのきっかけだったそうです。

門山家の事情はわかりませんが。

もし、自分が孫で、おじいちゃんがこれを作って持ってきたら、

“普通のおもちゃが良かったのに・・・” と心の中で思う気がします (笑)

 

 

さてさて、今展では日本人だけでなく、

海外の作家も4人ほど紹介されています。

その中には、物故作家も1人いました。

 

 

 

イギリスのマッジ・ギル (1882~1961) という女性作家です。

約40年間で、黒いインクで女性を描いた作品を1000点以上も残したのだそう。

その作風は、半世紀以上も前のものとは思えないくらいに洒脱で今風です。

 

 

 

彼女が描くアンニュイな女性はすべて、

どこかHey! Say! JUMPの伊野尾君に雰囲気が似ていました。

 

 

また、個人的に気になった海外作家は、

フランス在住のフランソワ・ジョービオンです。

 

 

 

もともとは模型製作の仕事をしていたそうですが、

近年では、自身が愛するアーティストをテーマにしたイラスト画を制作しているそう。

例えば、こちらは、郵便局員でありながら、33年もかけて、

奇妙な宮殿を作ったフェルディナン・シュヴァルをモチーフにしたもの。

 

 

 

どのイラスト画も、中心に真っ裸になったアーティストの姿が、

その周囲に、アーティストの作品や仕事道具が描かれています。

なぜ、真っ裸?

モチーフとなったアーティストの中には、現在活躍している方も。

いくらリスペクトしているとはいえ、真っ裸はいろいろマズいような・・・。

しかし、そんな常識に縛られないのが、アンフレームドな作家なのでしょう。

星

 

 

ちなみに。

今展では、2名の 「カワル角度案内人」 が、

作品の見え方を変える視点をそれぞれ紹介しています。

1人は、ジャーナリストに伊藤詩織さん。

 

 

 

そして、もう一人は、料理評論家で、

大泉洋のモノマネでもお馴染み (?) の土井善晴さん。

 

 

 

美術界の枠に捉われない、

意外にもほどがある人選でした。

まさに、アンフレームド。





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