久しぶりに、川崎市岡本太郎美術館に行ってきました。
常設展示室で開催されていたのは、
“太郎さんの心の中を楽しもう!” という展覧会。
感情を切り口に太郎作品を紹介する展覧会で、
いつも以上に会場にはパッションが溢れていました。
そうそう、溢れていたといえば、《坐ることを拒否する椅子》 も。
坐ることどころか、会場内の移動を拒否するかのように、
過去最多となる約20点もの椅子が一挙展示されていました。
さてさて、そんなカラフルな常設展示室とは対照的に、
企画展示室では、モノクロな世界が広がっていました。
こちらで開催されていたのは、
“太郎写真曼陀羅 ―ホンマタカシが選んだ !! 岡本太郎の眼―”。
こ2011年に筑摩書房より発売された・・・・・
に掲載された写真を、写真家のホンマタカシさんが、
セレクトし、5つのジャンルに分けて紹介するという展覧会です。
学芸員や研究者の眼ではなく、プロの写真家の目線で、
写真が選ばれ、分類分けされているというのが今展の最大の肝。
各ジャンルごとに、ホンマさんの飾りのない言葉で、
太郎さんの写真のどこを評価し、どこに魅力を感じたのかが紹介されています。
基本的には、太郎さんが撮影した写真ですが、
一部は、太郎自身が被写体となっているものも。
ホンマさん曰く、太郎さんが映っていれば、
それもまた岡本太郎の写真であるとのこと。
確かに、普通の男性が乗っていたら、
何の変哲もない写真に過ぎない気がしますが。
太郎さんが運転しているというだけで、不思議と絵になる気がします。
スキーもピアノも独学でプロ級の腕前に上達した岡本太郎。
カメラも特に誰に習ったわけではないのに、その腕前は、
プロのホンマさんも目を見張るほどのものがあるそうです。
ある写真は、ソール・ライター風。
また、ある写真は、石元泰博風。
そしてまた、ある写真は、アンリ・カルティエ・ブレッソン風。
絵画や彫刻作品に関しては、
「This is 太郎!」 と言わんばかりに個性の塊のような太郎さんですが。
写真では、多彩な顔を見せているのが印象的でした。
写真家としての岡本太郎という、新たな一面に気付かせてくれる展覧会です。
ちなみに、展示された写真の中にはもちろん、
誰風でもない太郎さんらしさ全開の写真もありました。
個人的にお気に入りなのは、
太郎さんの自宅兼アトリエで撮影されたこちらの一枚。
我が物顔で堂々と行水するカラスに対して、
太郎作の 《動物》 が、若干ビビっているかのよう。
完全に固まっています。
まぁ、実際、陶製なので固まっているのですが。
なお、会場には写真作品と併せて、
太郎さんの彫刻作品も数多く展示されています。
その中で特にインパクトがあったのが、
《千手》 と名付けられたこちらの作品です。
全身銀色なボディといい、
顔や手の形といい、その質感といい・・・。
完全にグレイタイプの宇宙人です。
実は、岡本太郎が宇宙人と遭遇していたっていう話。
信じるか信じないかはあなた次第です。