現在、三鷹市美術ギャラリーで開催されているのは、
“デビュー50周年記念 諸星大二郎展 異界への扉” という展覧会。
デビューから50年経った今もなお現役で活躍し、
カルト的な人気を誇る漫画家・諸星大二郎さんの大規模展覧会です。
初期の傑作SF短編 『生物都市』 や、
民俗学や考古学の視点で描かれたライフワークともいうべく 『妖怪ハンター』、
『西遊記』 を大胆にアレンジした手塚治虫文化賞・マンガ大賞受賞作 『西遊妖猿伝』 など、
諸星先生の代表作の貴重な原画約350点が惜しげもなく展示されています。
(展示は前後期で入れ替えあり。後期は9月7日からスタート)
さらに、三鷹市美術ギャラリーでの展覧会なので、
三鷹市を舞台にした 『栞と紙魚子』 シリーズの原画ももちろん展示されていました。
・・・・・・・と、ここまでは、よくあるタイプの漫画家の展覧会なのですが。
そこは、あの宮崎駿さんも崇拝するという奇才漫画家の展覧会!
普通であるわけがありませんでした!!
というのも、会場には原画だけではなく、
作品世界に関わりの深い民俗資料も併せて展示されていたのです。
さらには、かかわりの深い美術作品も。
民俗資料や美術作品の出展数があまりに多いので、つい何度も、
自分が今、諸星大二郎展の会場にいることを忘れてしまいそうになりました。
ちなみに。
出展されている資料の一部は・・・・・
諸星先生の私物でした。
漫画のために、実際に資料を購入されているのだそう。
作品の根底にあるリアリティは、こうしたところから生まれているのですね。
いい意味で、カオス。
いい意味で、世界観がぐちゃぐちゃ。
まるで諸星先生の脳内に入り込んだかのように錯覚する展覧会でした。
これまでにないタイプの漫画展。
諸星さんのファンはもちろんのこと、
民俗系、考古系に興味がある方にもオススメです。
(注:後期から予約制度が導入されるので、行かれる方は事前に以下のリンク先をチェックくださいませ)
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/docs/reserve09071010/
ただ、漫画の原画を並べるのではなく、
関連する資料や美術品を併せて紹介することで、
諸星大二郎作品の壮大で深遠な魅力を伝えたい!
そんな担当学芸員さんの熱気のようなものが、
時々、キャプションからもダダ洩れしていました。
例えば、『碁娘伝』 についてのキャプションには・・・・・
「囲碁のウンチクに殺陣の躍動感、
胸元も露わな碁娘のお色気と、サービス満点の娯楽作品である。」
「仇敵との対局でじわじわと相手を追い込む心理戦からの、
機ありと見るや剣一閃、碁娘の鮮やかな手並みが小気味よい。」
「豪快無比の孫悟空、妖精も交えたアクロバティックな燕見鬼、
そして静中に動あり・動中に静ありの碁娘と、それぞれに持ち味があるのが素晴らしいではないか。」
とありました。
『孤独のグルメ』 の井之頭五郎のモノローグか!