えー、かれこれ20年以上、東京国立博物館に通っていますが。
150年近くの歴史を持つ本館の建物に、
現役アイドルのバナーが掲げられる光景を誰が想像したでしょうか。
こちらは、トーハク内の表慶館で開催中の展覧会、
“春夏秋冬/フォーシーズンズ 乃木坂46” のバナー。
日本美術と乃木坂46がコラボを果たした話題の展覧会のバナーです。
美術品とアイドルのコラボと言っても、
いつぞやの 『美術館女子』 企画とはまったくの別物です。
展覧会のコンセプトは、ずばり 『伝統×古典』。
東京国立博物館が所蔵する 「花」 が描かれた名品と、
その作品をモチーフに映像作家が、乃木坂46のメンバーを、
「花」 に見立てて制作した映像作品を併せて紹介する展覧会です。
(注:東京国立博物館所蔵の作品は、今展では高精細の複製が展示されています)
例えば、グループ随一の小顔・齋藤飛鳥さんと併せて紹介されていたのは・・・・・
©乃木坂46LLC
狩野派の絵師・狩野長信による国宝 《花下遊楽図屏風》。
(※屏風右隻中央は原品では消失。複製は、ガラス乾板の画像から復元し合成している)
スクリーンでは、会場である表慶館で、
現代的なダンスを披露する齋藤さんの姿が映し出されています。
そして、《花下遊楽図屏風》 内にも、
当世風の舞踏を披露する女性が描き込まれています。
つまり、この展示空間では江戸と現代、
時空を超えたコラボが楽しめるというわけです。
また例えば、俵屋宗達の実の弟とも、弟子ともいわれる、
俵屋宗雪による重要文化財指定の 《秋草図屛風》 は・・・・・
近年はミュージカルでも活躍する生田絵梨花さんの映像作品と併せて紹介されていました。
実は、右隻と左隻を入れ替えても線が繋がり、成立する 《秋草図屛風》。
その 「ループ構造」 的な要素からインスパイアされた映像作品がループ再生されています。
この他にも、「《振袖 白縮緬地梅樹衝立鷹模様》×梅澤美波」、
「《夏秋草図屛風》×久保史緒里&山下美月」 など、7つのコラボが紹介されています。
どの映像作品も、アイドルのMV作品という感じはなく、
むしろ、現代アート寄りの、コンセプチュアルな作品でした。
展覧会としては、もちろんそれで良いような気もしますが、
乃木坂46のファンにとっては、もっと彼女ららしさがあったほうが良かったような?
いずれにせよ、かなりチャレンジングな展覧会であることは確か。
11月28日まで、乃木坂展示中です。
ちなみに。
展覧会のラストは、あの人の言葉で締め括られていました。
そう。
秋元康プロデューサーです。
ここ最近、音楽シーンにとどまらず、
ドラマやラジオの世界でも彼の名を目にする機会が増えましたが。
ついに美術界にまで手を伸ばし始めた模様。
春夏秋冬、フォーシーズンズ休むことなく、
精力的に活動されていらっしゃるようですね。