現在、板橋区立美術館で開催されているのは、
“目力展 見る/見られるの関係性” という展覧会。
板橋区立美術館のコレクションの中から、
『目力』 のある作品をセレクトし、紹介する展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
目力と一口に言っても、目が象徴的な作品や、
目の存在感・インパクトが強い作品だけではなく、
“画家が時代を見つめる目” のような、
比喩的な意味での目力の強い作品も多く紹介されています。
印象に残った作品は多々ありましたが、
個人的に特に惹かれたのは、石井新三郎の 《作品》(画面中央)です。
確実に、ダリの影響は受けているのでしょうが。
机の奥に砂漠のような世界が広がっており、
そこに机に向かう女性がいるという入れ子状の構図が新鮮です。
しかも、よく見ると、手前の机と奥の机は、
同じように見えて、引き出しの数が違っていました。
そんな謎解き要素が詰まった一枚です。
展覧会には、他にもダリやマグリットに影響を受けたであろう作品も。
さらには、ビュフェに影響を受けたであろう作品もありました。
写真左に映っている中野淳による作品です。
ガリガリで胴が長すぎる女性が、
右手で思いっきり鳥の首を絞めています。
一度見たら忘れられないくらいのインパクト。
ちなみに、タイトルは 《ある食卓》。
韓国のサイコホラー映画のようです。
続いて印象的だったのが、井上長三郎の 《椅子》 (写真右)という作品。
タイトルは、椅子となっていますが。
その形状といい、座っている人物のダレ具合といい。
完全にYogibo、人をダメにするソファです。
それからもう一つく印象に残っているのが、
17歳で渡米し、以降アメリカを拠点に活躍した国吉康雄が鶏を描いた作品です。
目は虚ろげ。
しかも、たれ目。
あまりにも目力がなさすぎて、
目力展の会場でひと際浮いていましたが。
タイトルはなんと 《He’s the King》 とのこと。
こう見えて、強いのですね。
人も鶏も見た目で判断してはいけませんね。
ちなみに、展覧会のラストでは、
『再見 「さまよえる絵筆」 の画家たち」 と題して、
緊急事態宣言が発令されたため、残念ながら、
会期途中で終了してしまった “さまよえる絵筆展” の一部が復活しています。
行きそびれてしまった方はもちろんのこと、
初出しの作品もあるので、展覧会を観た方にもオススメ。
さすがに、再々見の機会は無いでしょうから、この機会を逃しませんように!
なお、充実した展覧会ながら、
館蔵品展であるため、観覧料は無料!
板美の太っ腹さには、目を見張ります。