中村屋サロン美術館で開催中の展覧会、
“自身への眼差し 自画像展” に行ってきました。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
右を見ても、自画像。
左を見ても、自画像。
笠間日動美術館が所蔵する作品を中心に、
明治から昭和にかけて、約40点の自画像を紹介する展覧会です。
展覧会は全部で3つの章で構成されています。
まず第1章は、「明治初期の画家たち」。
顔や服装、絵のタッチなどは、
画家によってもちろん個性がありますが。
そのほとんどが、ちょっと身体を斜めにして描かれています。
“自画像とはかくあるべき” というようなフォーマットに捉われているようです。
ちなみに、この章で特に印象に残っているのが、辻永の 《自画像》(画面右)。
辻永といえば、山羊をよく描いたことから、
「山羊の画家」 という異名が付けられています。
作品を何度か目にしたことはありますが、
これまでご本人の顔を見る機会はありませんでした。
やはり山羊をよく描いていたからでしょう。
顔が山羊に近づいています。
キャプションにも、『「山羊ひげ」 と呼ばれた顎鬚をたくわえた。』 と記載されていました。
それも一行目に。
続く第2章は、「明治中期・後期の画家たち」。
中期こそまだ、身体が斜めった自画像が多いですが。
時代が進むにつれ、立ち姿など、
バリエーションが増えていきます。
↑余談ですが、画面右の田村一男の 《自画像》 は、J.Y. Parkに少し似ていました。
こちらの章では、高村光太郎や萬鉄五郎、梅原龍三郎、
安井曾太郎といったそうそうたるメンバーの自画像が紹介されています。
それらの中には、パリにわたる前の佐伯祐三の 《自画像》 も。
全身から放たれる圧も強いですが、
「大正六年六月 佐伯祐三」 と赤く描かれた文字の圧も強いです。
全体的に仁侠映画っぽい印象を受けました。
深作欣二監督の。
また、第2章の冒頭で並んでいたのが、
斉藤与里 (左) と岸田劉生 (右) の自画像です。
フュウザン会を立ち上げたメンバーのうちの2人ですが、
この2人が仲たがいしたことで、フュウザン会はわずか2年で解散してしまいました。
心なしか、自画像の二人も仲たがいしているように見えます。
せめて自画像同士は仲良くしたらいいのに。
展覧会のラストを飾る第3章は 「大正・昭和の画家たち」。
没後35年以上経った今もなおカリスマ的人気を誇る鴨居玲や、
日本人で初めてフェルメールに目を向けた洋画家・岩田榮吉をはじめ、
個性的な画家たちの個性的な自画像の数々が紹介されています。
中でもひときわ個性的だったのが、木村忠太による 《自画像》。
30代後半でパリに渡り、
70歳で亡くなるまでパリで生活し続けるも、
フランス語を一切覚えようともしなかったのだとか。
それどころか、画廊にも興味を示さなかったとか。
・・・・・Youは何しにフランスへ?