現在、長谷川町子記念館では、“別冊サザエさん展” が開催されています。
『サザエさん』 は新聞連載の4コマ漫画という印象が強いかもしれませんが、
実は新聞連載と並行して、1954年から約5年間、雑誌で短編漫画も連載されていました。
それら短編漫画63話のうち54話を収録したのが、『別冊サザエさん』 です。
1975年には、全3冊からなる改訂版 『別冊サザエさん』 が出版されていますが。
(注:館内は一部撮影可。このブログに掲載されている写真は、特別に許可を得て撮影しております)
全5冊からなる初期の 『別冊サザエさん』 は、
古本屋でもほとんど見かけないほどの幻の漫画本なのだそう。
ちなみに、その第三集の表紙が、こちら↓
『サザエさん』 のエンディングを彷彿とさせる一場面です。
あのエンディングのシーンには、特に元ネタはないそうですが、
もしかしたら、この幻の 『別冊サザエさん』 の表紙の影響を受けているのかもしれませんね。
さて、そんな知る人ぞ知る 『別冊サザエさん』 ですが、
長谷川町子自陣は強い思い入れを抱いて描いていたのだそうです。
まずは、『別冊サザエさん』 の原画をご覧ください。
続いては、雑誌連載時の原画をご覧くださいませ。
見比べてみると、いろいろと違うことがわかりますね。
まず、一コマのサイズが違います。
そして、『別冊サザエさん』 の原画はとってもカラフル。
そう、長谷川町子は、『別冊サザエさん』 のために、
一からすべて新たな絵を、描き直しているのだそうです。
(話によっては、ストーリーの一部を変更したものも!)
さらに、1975年に出版された改訂版の 『別冊サザエさん』 をご覧くださいませ。
改訂版では、単色の印刷となっています。
注意深く、オリジナル版と見比べてみると、
カラーだったものをそのまま単色にしていないことがわかります。
つまり、改定する際にも、再び長谷川町子が手を加えているのです。
別冊だからといって、手を抜かない。
それが長谷川町子です。
さーて、展覧会では、『別冊サザエさん』 のその原画と、
雑誌に連載されていた際の原画が、年代順に紹介されていました。
何より興味深かったのは、連載雑誌が4回も変わっていたこと。
最初は、今でいう 『りぼん』 的な 『少女クラブ』 で連載されていました。
今なお発刊されている 『週刊朝日』 で単発作品を発表した後、
主婦向けの大人気雑誌 『婦人俱楽部』 に連載を移し、12回ほど連載されたそう。
さらに、未婚女性をターゲットにした 『若い女性』 でも連載されました。
連載される雑誌が変わるたびに、
漫画の内容も読者層に向けたものへと変化。
全世代向けに描かれた新聞連載の漫画と比べて、
よりニッチな話題を取り上げているのが特徴的でした。
ちなみに、『別冊サザエさん』 の中には、
こんな大冒険スペクタクルな内容のものも。
タイトルは 「漂流の巻」。
食料を得るために豹を生け捕りにしようとしたり、
人食い人種に捕まってしまったり、と、だいぶ攻めた内容です。
いつかアニメ映画化されることを期待したいと思います。
『サザエさん THE MOVIE』 的な感じで。
また、『別冊サザエさん』 では、
本編には登場しない話が描かれているのも大きな特徴です。
意外なトリビアの数々を知ることができました。
本日はその一部をご紹介いたしましょう。
まずはこちらのトリビアから。
「サザエとマスオはデパートの食堂でお見合いし、その場で結婚を決めた」。
続いてはこんなトリビアです。
「サザエは実業家としての手腕に自信がある」。
最後はこんなトリビアです。
「サザエの学生時代のあだ名は、『かけどびん』」。
ちなみに。
長谷川町子記念館の向かいにある長谷川町子美術館では、
2年ぶりに、アニメの 『サザエさん』 をフィーチャーした展覧会が開催されています。
その名も、“アニメサザエさん展「あさひが丘大運動会」”。
運動会をテーマにした展覧会で、館内全体が運動会モードになっていました。
2階展示室では、アニメで描かれた運動会のエピソードが、
その元ネタとなった4コマ漫画と併せて展示紹介されています。
さらに、アニメで使われたセル画も。
そんな数あるセル画の中で、なんとも気になる一枚を発見してしまいました。
カツオが3人。
SFチックな展開だったのか、バグでも起きたのか。
どんなシーンだったのか、気になって気になって仕方ありません。