長野県小布施町にあるおぶせミュージアム・中島千波館を初訪問してきました。
こちらは、小布施町で生まれ、小布施名誉町民でもある日本画家中島千波さんが、
自身の作品約1000点 (!) を小布施町に寄贈したのを契機に、1994年に開館した美術館です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
そんなおぶせミュージアム・中島千波館で、この秋開催されているのが、
“秋の中島千波展 おもちゃシリーズと世界の富士山を描くシリーズ” という展覧会。
桜の画家、という印象が強い中島千波さんですが、
中島さんがライフワークにしているシリーズは、桜だけにあらず!
実は、他にもさまざまなシリーズに取り組んでいるのです。
今展ではそのうちの2つの代表的なシリーズにスポットが当てられています。
まず最初の展示室で紹介されていたのは、「おもちゃシリーズ」。
中島さんがご自身で集めた海外のおもちゃを、
窓辺を連想させる場所に並べ、季節の花と併せて描く作品シリーズです。
1972年に発表した 《桜んぼと鳩》 を皮切りに、
かれこれ40年近くにわたって、描き続けられています。
シンビジュームと動物のおもちゃとか、
バラと楽団のおもちゃとか、その組み合わせは無限大。
一つとして同じ組み合わせがないのが、大きな特徴です。
さらに、組み合わせにも意味 (ストーリー) があるそうで。
例えば、こちらの 《月下美人の仲間》 という作品。
1年で一晩しか咲かないともいわれる月下美人。
その花の性質に合わせて、
月やフクロウといった夜にまつわるおもちゃが選ばれています。
また、中には、こんな組み合わせも。
タイトルは、《小夜曲》。
モーツァルトが作曲たセレナーデの傑作、
『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』 から連想したタイトルなのだそうです。
確かに、右上には楽器を演奏する天使がいますが、
全体的には、『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』 な印象は無いような・・・。
そう、しばし考えたところで、中心に描かれたものを観て、気が付いてしまいました。
あ、稲!!
なるほど。ダジャレでしたか。
中島先生に一本取られました。
と思ったら、実はもう一つダジャレが忍ばされているそうです。
描かれているおもちゃは、鳩をモチーフにしたもの。
そう、“ナ鳩ムジーク” というわけです。
ギャフン。もう一本取られました。
ちなみに、よーく近づいて観てみると、
稲の中に、音符やト音記号が隠れているのがわかります。
遊び心満載。
この 「おもちゃシリーズ」 が、
中島さんにとって、一番のおもちゃなのでしょう。
さて、今展でもう一つ紹介されているのが、 「山シリーズ」。
セカチューでお馴染みのオーストラリアのエアーズロックや、
セザンヌも描いたフランスのサント・ヴィクトワール山など、
アルプス山脈で最も有名な山マッターホルンなど、
世界各地の独立峰を雄大に描くシリーズです。
これら 「山シリーズ」 の作品はすべて、
実際に現地に足を運んで描かれたもの。
しかも、一切写真は撮らず。
スケッチを何枚も何枚も、それこそ山のように行い、その上で完成したものです。
今展では、そんなスケッチの氷山の一角も併せて展示されていました。
つい先日、誕生日を迎え、76歳となった今なお現役バリバリで、
日本中を飛び回り (コロナが落ち着いたら、世界にも再び取材予定)、
たくさんの絵を描き続けている中島千波さん。
作品はもちろんのこと、そのパワフルな姿勢にも感銘を受けました。
ちなみに (←中島さんに対抗して、ダジャレを言ったわけではありません)。
館内には、こんなパネルがありました。
「好きな服装・普段着 → Gパン」 とか、
「好きな総菜 → フカヒレ」 とか、気になる回答は多々ありましたが。
個人的に一番気になったのが、こちらの回答です。
中島さんは、やっぱり桜が好き。