東京オペラシティ アートギャラリーで開催中の “和田誠展” に行ってきました。
2019年に逝去したイラストレーター和田誠さん、
その多岐にわたる仕事の全貌に迫る初の大規模展覧会です。
出展されている作品、資料の数は、
な、な、なんと驚愕の2800点 (!!)。
それほど膨大な数の作品が展示されていることにまず驚かされ、
冷静になって、それらすべてが1人の人間が生み出したものであることにまた驚かされました。
その活動の幅があまりにも広すぎるゆえ、
「絵本」「ポスター」「装丁」「ロングランの仕事」 といった具合に、
全部で30のトピックに分けて、作品や資料などが紹介されています。
今回改めて、圧倒的な量の和田さんのイラストを観て、
何よりもスゴ味を感じたのは、一目見ただけで和田さんのイラストだとわかるということ。
でありながら、さらにスゴいのが、決してマンネリには感じられないということ。
どのイラストにも、ちゃんとユーモアと驚きがあるのです。
それらのバランスが絶妙な稀有なイラストレーターであることを再確認させられました。
なお、それを特に実感したのが、こちらの展示↓
文春砲ならぬ文春壁。
和田誠さんのライフワークの一つ 『週刊文春』 の表紙がズラっと並べられています。
表紙絵のモチーフはバラバラなのに、
ちゃんと和田さんの絵だとわかるのがスゴいです。
こんなに素敵な表紙が約40年も続いただなんて。
和田さんも素晴らしいですが、
和田さんの表紙を採用し続けた 『週刊文春』 も素晴らしい。
「ありがとう文春!センテンススプリング!」 と心から言いたくなりました。
また、展覧会では、和田さんが作曲した曲やアニメーションなど、
知ってるようで知らなかった和田さんの意外なお仕事も紹介されています。
『麻雀放浪記』 や小泉今日子主演の 『快盗ルビイ』 など、
映画好きが高じて、映画監督や脚本を務めたこともあったそう。
天は何物与えたのでしょう。
多彩にもほどがあります。
意外な仕事といえば、こちらも↓
1960年に発売され、今なお発売当時のデザインが踏襲されているハイライト。
そのパッケージデザインを手がけたのが、何を隠そう和田誠さんです。
しかも、この時、大学卒業したての23歳!
恐るべき早熟の天才ぶりです。
なお、和田さんのさらなる早熟ぶりに驚かされるのが、
小学生や中学生、高校時代に描かれた和田さんの絵の数々。
この段階で、すでにイラストレーター和田誠ができあがっています。
スタートダッシュ、どんだけ早いんだ。
そのほのぼのとした画風ゆえ、ほぼ意識したことが無かったですが、
和田誠というイラストレーターの偉大さを強く実感させられた展覧会でした。
ちなみに。
約2800点もある作品の中で、個人的に一番印象に残っているのは、
『ザ・ベスト・オブ・デューク・エイセス』 のLPジャケットのデザインです。
デューク・エイセスをこんなにもポップに描けるのは、
世界広しと言えど、和田誠さんだけなのではなかろうか。
なお、その2年後に開催されたコンサートのポスターがこちら。
デューク・エイセスがマイクで表現されています。
そのセンスに脱帽しました。
いいポスターだな。