本日も父に関するお話。
父の話題を何日も引っ張ってしまい、
読者さん以上に、父自身が 「もういいよ」 と思っていることでしょう。
昨日おとといの記事が、美談のようなテイストになってしまったので、
父の葬儀でやらかしてしまった大失敗をカミングアウトしようと思います。
それは告別式での話。
喪主である母の代わりに、挨拶を担当することとなった僕。
アートテラーという喋りの仕事をしているだけに、トークで失敗するわけにはいきません。
ましてや、父の人生最後の晴れ舞台に泥を塗るわけにはいきません。
それ故に、どんな講演よりも、
どんなテレビラジオ出演よりも緊張していました。
そして、告別式がスタート。
予想していたよりも、お経が長く、
正座に慣れていない僕は、開始数分にして足が痺れてきました。
“足を崩しちゃおっかな・・・”
という考えが過りましたが、
ふと頭を上げると、遺影の中の父がこちらを見つめていました。
その目は、確実に “だらしないぞ” と言っていまふ。
さらに、隣に目をやると、弟は微動だにしていない様子。
これは崩すわけにはいきますまい!
確か、緑と黒の市松模様の羽織を着たをとある漫画の主人公は、
「俺は長男だから我慢できたけど、次男だったら我慢できなかった」 と言っていたはず。
ということは、長男である僕は我慢できるに決まっています。
足の痺れに気が向かないように、
心を無にすること数十分、お焼香が始まりました。
その際は、僕と弟は元の場を離れ、
お焼香の台の近くで、立ち会うという段取りになっています。
司会者からの合図があり、いざ立ち上がろうとした瞬間です。
!!!!!!!!!!!!!
足が痺れ切っていたため、
ヒザから下の感覚がまったく無く。
人生で初めて経験する感覚だったので、
“えっ、ヒザから下を座布団の上に置き忘れてる?!”
と、マジで思ってしまいました。
パニックになりながらも、このままではお坊さんにぶつかってしまうことを察知。
それを避けようと、とっさに左斜め前の空きスペースにダイビングしました!
グジャッ!!!!!
足の甲から聴いたことがない音が鳴り響きました。
僕だけが聴こえた空耳かと思ったら、
のちほどのヒアリングで、列席者の多くが耳にしていたことが判明。
そう、盛大に転んでしまったのです。
しかし、今は遺族代表。
こんなんでも、父にとっては長男です。
生まれたての仔鹿状態になりながらも、
何事もなかったように立ち上がり、お焼香に立ち会いました。
その後、なんとか列席者全員のお焼香を終え、持ち場に戻ると、
母を筆頭に、義妹や甥、叔父や叔母など全員が心配していました。
というのも、どう見ても、左足の足首が尋常でない腫れ方をしているのです。
しかし、こんなことを理由に進行を止めるわけにはいきません。
引き攣った笑顔で、“こっちは気にしないで” と伝え、
どうにかこうにか無事に葬儀を終えることができました。
ちなみに。
鳴り響いた音が音だっただけに、
骨折していることも覚悟しましたが。
ねん挫で済みました。
きっとお父さんが守ってくれたのでしょう。
人生には思いもかけないつまずきがある。
大切なことを父が教えてくれました。