蔵書数は、約100万冊!
日本最大の “本” のミュージアムこと、
東洋文庫ミュージアムが、今年10月に開館10周年を迎えました。
それを記念して、現在開催されているのが、
国宝に指定されている 《文選集注》 や、
公開する機会が少ないため、保存状態が抜群の浮世絵、
さらには、教科書でお馴染みの 『解体新書』 など、
東洋文庫が所蔵する名品の数々が、
開館10周年を祝すべく、これでもかと出展されています。
教科書でお馴染みといえば、こちらも↓
《アヘン戦争図》 です。
この絵を国内で所持しているのは、おそらく東洋文庫のみ。
世界的に見ても、イギリスの博物館が所蔵しているだけ、という超貴重な作品です。
実は、東洋文庫はこれまでカラー版とモノクロ版の計2点を所持していましたが、
つい最近、より保存状態が良好なこのカラー版をコレクションに加えたばかりなのだとか。
そう、つまりは、この 《アヘン戦争図》 は今回が初披露なのです。
歴史の教科書にも掲載されているこれまで所持していた 《アヘン戦争図》 のほうには、
こちらの新収蔵版の画面右に描かれている小舟は塗りつぶされて、描かれていないのだそう。
ということは、こちらの新収蔵版の 《アヘン戦争図》 が完全版という可能性は大いにあり。
今後、教科書に掲載されるのは、こちらの 《アヘン戦争図》 かもしれません!
さてさて、記念イヤーを盛り上げる展覧会だけに、
他にも東洋文庫が所蔵する名品の数々が出展されています。
例えば、《甲骨卜辞片》。
紀元前14~11世紀のもので、甲骨の表面には、
漢字の最も古い形態とされる甲骨文字が刻まれています。
画像では全然伝わらないでしょうが、
今から3000年以上も前のものだけに、
えもいわれぬオーラが発せられていました。
また例えば。『隋書』。
赤線を引いたところにご注目ください。
「日出処天子」 とあります。
すなわち、これは “日出ずる処の天子”。
そう、聖徳太子に関するあの有名なフレーズが記載されている書です。
また、今展では一般的に知られる名品だけでなく、
敦煌の莫高窟から発見された 《唐人雑鈔(敦煌文書)》 や、
南北朝時代の書写された 『論語集解』 など、
東洋文庫の研究員が推すマニアックな名品も数多く出展されています。
それらの中には、今回が初公開となう超貴重なものも!
ただの10周年ベスト展ではなく、今後に期待させる10周年ベスト展。
20周年、30周年の記念展も楽しみです!
ちなみに。
気になる展示品は多々ありましたが、
個人的に印象に残っているのは、こちらの 『イエズス会士書簡集』。
見開きページが、ドーンと見引らかれていました。
「何が描かれているのだろう?」 と、よくよく観てみたら・・・・・
クビチョンパされている宣教師が描かれていました。
『イカゲーム』 並みのグロシーンです。
なお、こちらの 『イエズス会士書簡集』 は、
あのマリー・アントワネットが所持していたものとのこと。
まさか自分自身も、この描かれた宣教師同様、
首を刎ねられてしまうだなんて、夢にも思っていなかったことでしょう。
それから、もう一つ印象的だったのが、
1951~52年に東京で発刊されたという 『民主勢力』 なる政論誌。
中国共産党にも、中国国民党にも与せず、
日本や香港、北米を拠点に活動していたという第三勢力によって発刊されたものなのだとか。
実はこの雑誌、東洋文庫が所蔵するこの2冊以外、所在が確認されていないのだそうです。
そもそも雑誌自体が薄すぎるし、世に出回っていなかったのでしょうし。
弱いにもほどがある民主勢力です。