Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

野田弘志 新作展 神仙沼 -保木将夫氏に捧ぐ-

$
0
0

今年6月、ホキ美術館の創立者で、

ホギメディカルの創業者でもある保木将夫さんが逝去されました。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

生前は、大変お世話になりました。

この場を借りまして、心よりお悔やみ申し上げます。

 

 

さて、そんな保木将夫さんが、その完成を心より楽しみにしていたというのが、

写実絵画界の生きるレジェンド・野田弘志さんが手掛けていた風景画の大作です。

当初の予定では、3年前には完成しているはずでしたが、

なかなか納得のいく仕上がりにはならず、気が付けば3年以上の月日が流れていました。

そして、つい先日、構想から6年目にして、

《神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ―》 が一応完成しました。

 

 

 

描かれているのは、ニセコにある神仙沼。

その絶景を縦約3m×横約7mの大画面に描ききった超大作です。

野田弘志さんにとっても過去最大作、

ホキ美術館のコレクションの中でも最大作となっています。

なお、完成ではなく “一応完成” と伝えた理由は、

素人目には全然わかりませんでしたが、野田さん曰く、まだ未完成とのこと。

今後、年に2回のペースでホキ美術館を訪れ、

作品に筆を入れ、完成に近づけていくのだそうです。

この時点でもう十分完成度が高く、

この時点でもう十分感動してしまったというのに。

 

 

《神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ―》 が目に飛び込んできた際の、

その率直な第一印象はやはり 「デカッ!!」 でした。

 

 

 

大パノラマが実際に目の前に現れたような。

一瞬、本当に絵とは思えず、ましてや写真や映像とも思えず、

沼のど真ん中にいきなりポーンと放り投げられたかのような錯覚を覚えました。

どこでもドアを初体験した気分に近いものがありました。

いや、どこでもドアを体験したことはないですけれども。

 

 

そして、もう一つ印象的だったのは、

作品全体から感じられる若々しさです。

今年で85歳となった野田弘志さん。

しかし、そんな年齢が一切感じられませんでした。

ご本人は近くに寄ってあまりマジマジと観ないでほしいと仰っていましたが。

 

 

 

近づいて観てみると、引きで観る際のおとなしい印象とは違って、

アンフォルメルの抽象画のような、ロックで激しい印象を受けました。

さらにクローズアップしてみると、ゲルハルト・リヒターのような印象も受けました。

 

館内では、野田さんの他の作品も多く出展されていましたが、

他のどの過去作よりも、《神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ―》 が一番力強かったです。

 

 

 

《神仙沼―保木将夫氏に捧ぐ―》 は、

まず間違いなく、現時点での野田弘志さんの最高傑作、

および、ホキ美術館コレクションの最高傑作と言っても過言ではありません!

あまりにも作品が大きいため、今後ホキ美術館の館外に出る予定は一切なしとのこと。

門外不出の逸品です。

星星星

 

 

ちなみに。

“野田弘志 新作展 神仙沼 -保木将夫氏に捧ぐ-” と同じ日程で、

ギャラリー1で同時開催されているのが、“「永遠の瞬間」 静物画展” という展覧会。

小尾修さんの最新作や、

 

小尾修 《7:30am.》 2021年

 

若き日にフェルメールを研究した青木敏郎さんの静物画をはじめ、

 

青木敏郎 《菓子・パン・白デルフトの焼物》 2014年

 

 

ホキ美術館が所蔵する静物画約40点が一堂に会す展覧会です。

中でも一番目を惹かれたのが、

五味文彦さんの最新作 《三角のグラスのある静物》 です。

 

 

 

これまでも静物画の中で、パンを多く描いてきた五味さん。

最新作では、パンはパンでも、

見た目で損しているレーズンパンが描かれていました。

 

 

 

実はレーズンが苦手で、

目にするだけでも、ウッとなってしまう僕。

この絵を鑑賞している際にも、ちゃんと (←?) ウっとなりました。

それだけリアルということです。

 

 



1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles