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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ユージーン・スタジオ 新しい海

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東京都現代美術館で開催中の展覧会、

“ユージーン・スタジオ 新しい海” に行ってきました。

 

 

 

こちらは、国際的に活躍するユージーン・スタジオの国内美術館では初となる個展です。

ユージーン・スタジオという名前だけ聞くと、

アーティストグループのような印象を受けますが、

その実体は、アメリカ生まれの寒川裕人さんによるスタジオの名前。

「ZARD≒坂井泉水」 「T.M.Revolution≒西川貴教」 みたいな感じでしょうか。

ちなみに、ユージーン・スタジオ≒寒川裕人さんは、現在32歳。

東京都現代美術館では過去最年少の作家の個展、

かつ、初となる平成生まれの作家の個展となるそうです。

 

 

展覧会の冒頭に飾られていたのは、

代表的の一つである 〈White Painting〉 シリーズ。

 

 

 

離れて観ると、真っ白なキャンバスに見えます。

でも、近づいて観てみると・・・・・

 

 

 

いや、やっぱり真っ白なキャンバスにしか見えません。

だから、〈White Painting〉 シリーズ。

実はこの白いキャンバスには、たくさんの人たちの接吻の跡が重なっています。

アメリカやイタリア、スペインなど、世界のさまざまな都市で、

道行く人に声をかけ、このキャンバスに対して口を付けてもらったのだとか。

あからさまなキスマークが付いているわけではないので、

どれだけ近づいて観てみたところで、どんな人がどこに口を付けたのかはわかりませんが。

確かに、このキャンバスには、誰かが口を付けているのです。

そう想像すると、急に生々しく感じられてきました。

 

 

続いて展示されていたのは、最新作となる 《海底》

展覧会タイトルの “新しい海” を彷彿とさせるもので、

東京都現代美術館の吹き抜け空間を使ったインスタレーション作品です。

 

 

 

まさか、この空間一面に水を張るとは!

シンプルなアイディアながらも、

あまりにも大胆な試みに、度肝を抜かれました。

この発想を思いついたユージーン・スタジオもスゴいですが、

このとんでもない発想を実現させた東京都現代美術館もスゴいです。

《海底》 を観るだけでも、この展覧会を訪れる価値は大いにあり!

2021年に開催された現代アート展の中では、断トツの面白さでした。

星星星

なお、この空間は天井から光が差し込むので、

朝や昼、夕方と時間帯によっても、表情が変わるのでしょう。

できることなら、一日ここにいたいくらいほど。

さらにできることなら、一日水に浸かっていたいです (←進入禁止です!)。

 

 

展覧会では他にも、無数の点描からなる 〈レインボーペインティング〉 シリーズや、

 

 

 

『2001年宇宙の旅』 にインスパイアされて制作した 《善悪の荒野》 といった、

 

 

 

ユージーン・スミスの代表作の数々が紹介されています。

それらの中には、X JAPANの歌のタイトルのような 《ゴールドレイン》 という作品も。

 

 

 

こちらの作品は、天井から金箔と銀箔の粒子が降り注ぎ続けるというもの。

ただ、それだけではあるのですが、不思議と見入ってしまうものがありました。

 

 

 

なお、念のため、誤解なきように言っておきますが、

決して、金箔や銀箔に目が眩んだというわけではありません。

金箔や銀箔の金銭価値とは関係なく、その純粋な美しさに目が吸い込まれました。

 

 

ちなみに。

時間に余裕があれば、是非体験頂きたいのが、〈想像〉《#1 man》 という作品。

体験を希望する人は、整理券を受け取り、

一人ずつ、この扉の先にある空間へと入ります。

その際、光を発するスマホなどは一切持ち込むことはできません。

 

 

 

この扉の先は光が一切ない真っ暗な空間となっています。

その奥にはユージーン・スタジオととある彫像家が、

約3ヶ月の期間にわたって制作した彫像が設置されています。

その彫像の完成形は、作家自身も、

また、陳列に携わる美術関係者も一度も目にしていないのだそう。

確かにそこにあるのに、実態がわからない彫像。

それを鑑賞できるのは、この空間に入った者のみ。

しかし、真っ暗なので、目ではなく手で触れて、その形を想像するしかないのです。

僕が触った限りでは、彫像の肩幅ががっしりしていたような。

これもまた一つの想像にすぎません。

 

 



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