今年めでたく開館55周年を迎える山種美術館。
先日まで開催されていた “速水御舟と吉田善彦” に続いて、
開館55周年記念特別展の第5弾として、現在開催されているのが・・・・・
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)
“奥村土牛 ―山﨑種二が愛した日本画の巨匠 第2弾―” という展覧会。
山種美術館の創立者・山﨑種二とは生前に、
特に深い交流があった日本画家・奥村土牛をフィーチャーした展覧会です。
なお、土牛 (とぎゅう) という雅号は、書店を営む父が、
『土牛、石田を耕す』 という中国の詩にちなんで、名付けたもの。
「名は体を表す」 からか、はたまた、
父は未来が見えるスペックホルダーだったのか。
日本画家としては遅咲きの38歳でのデビュー。
80歳を過ぎても初心を忘れることなく、
101歳で亡くなるその直前まで絵筆を取り続けました。
雅号の通り、まるで牛歩のような画家人生を歩んだ人物です。
ちなみに、土牛がまだ無名だった時代から、
種二が亡くなる時まで、長い交流があったのだそう。
それゆえ、山種美術館が所蔵する土牛作品は、
なんと日本最大級、すなわち世界最大級の135点を数えます。
今展ではその中から、切手のデザインにも採用された 《醍醐》 や、
奥村土牛 《醍醐》 1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館
その迫力から 「日本画を越えた日本画」 とも評される 《鳴門》 をはじめ、
奥村土牛 《鳴門》 1959(昭和34)年 紙本・彩色 山種美術館
土牛の代表作の数々が紹介されています。
何よりも驚くべきは、《鳴門》 は70歳、《醍醐》 は83歳と、
それらの代表作の多くが還暦を越えてから、なんなら70代80代に描かれていること。
こちらの白寿記念で描かれた 《山なみ》 にいたっては・・・・・
白寿を控えた98歳に描かれた作品で、
しかも、それまでに用いたことがない新たな技法、
墨の滲みで山を描写するというチャレンジに挑んだそうです。
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今、自分は38歳。
だいぶ大人になったつもりでいましたが、
土牛の人生と照らし合わせると、ようやくスタートラインに立ったに過ぎず。
さらに、このあと60年先まで、
チャレンジ精神を持ち続けなくてはならないのですね。。。
土牛の人生のスケールの大きさに、打ちひしがれる展覧会でした。
なお、今展に出展されていた中で、
特に印象的だったのが、《軍鶏》 という作品です。
闘鶏用に改良されたため、
脚が太いのは知っていましたが。
それにしても太すぎるような・・・。
競輪選手くらいに太ももがパンパンです。
ショートスパッツ、履いてませんか??
続いて紹介したいのは、こちらの 《蛤》。
ただ、蛤が描かれているだけなのですが、
不思議と、それぞれ個性が感じられました。
センターでポーズを決める蛤。
一回り大きな体格で目立つ蛤。
一人だけメンバー(?) と離れるクールな蛤。
7人組アイドルのようです。
グループ目は、きっと 「HMG」。
それから、もう1点気になったのが、こちらの作品です。
何らかの鳥の雛が2羽描かれています。
タイトルは、《餌》。
そっちがメインなんかい?!
鳥の雛よりも、鳥の雛が食べているもののほうが絵の主役でした。
ちなみに。
《醍醐》 に描かれた醍醐寺の太閤しだれ桜を組織培養し、増殖させた苗木が、
開館55周年を記念して、住友林業から山種美術館に寄贈され、入り口脇に植樹されました。
早ければ来年の春に、
遅くとも2、3年後には、花を咲かせるとのこと。
今後、山種美術館を訪れる際には、
ほど近くにある八百屋さんの品ぞろえとともに (←?)。
この太閤しだれ桜の成長具合もチェックしたいと思います。
┃会期:2021年11月13日(土)~2022年1月23日(日)
┃会場:山種美術館
┃https://www.yamatane-museum.jp/exh/2021/okumuratogyu.html
~読者の皆様へのプレゼント~
“奥村土牛展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、12月5日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。