先日・・・といっても、もう2ヶ月以上経ちますが、
アーティゾン美術館の公式YouTubeで1年にわたって配信された・・・・・
『アーティゾン 子どものひろば』 が無事に最終回を終えました。
どの回もそれなりに面白いものになっていますが、
特に最後の6回分は、内容がより濃くなっていますので、
是非、お時間のある時にでも、ご視聴頂けると幸いです。
さて、そんな 『アーティゾン 子どものひろば』 の各回で取り上げた、
美術館を代表するコレクションの数々が、来年1月10日まで開催中の展覧会、
“石橋財団コレクション選” にて惜しげもなく一挙公開されています。
5階の展示室では、国内でも屈指の質と量を誇る印象派コレクションを紹介。
しかも、ただ普通に並べて展示するのではなく、
「印象派−画家たちの友情物語」 と題し、画家同士の交流にスポットを当てて展示しています。
例えば、カイユボットとルノワール。
同じ印象派の画家ではありながら、
裕福だったカイユボットはルノワールの作品を購入していました。
友人でもあり、パトロンでもあったのです。
なお、ルノワールはカイユボットの遺言執行人を務めています。
死ぬまで、いや、死んでもなお友情が続いていたのですね。
また、例えば、ピサロとセザンヌ。
気むずかし屋で、性格に難のあったセザンヌですが、
“印象派の長老” と呼ばれていたピサロを父のように慕い、懐いていました。
一緒にキャンバスを並べて制作していたこともあったそう。
他にも、「ゴッホ×ゴーガン」 を含め、
「ドガ×カサット」、「モネ×シスレー×シニャック」 など、
全部で7組の作家の友情 (時に愛情) が紹介されています。
“いろんな画家が出てきて覚えらえれる気がしない・・・” という方もご安心を。
展覧会の入り口付近に、イラスト入りの印象派画家の相関図が用意されていますよ。
ちなみに、この特集展示の出展作品の中で、
特に印象に残っているのが、カイユボットのパステル画。
《イエールの平原》 です。
平原の向こうに、一列に並んだ木があり、
その奥には砂漠、もしくは畑のような光景が見て取れます。
よくよく考えると、なかなか不思議な光景。
画面左に描かれた4本の細長い木も、妙に気になります。
タイトルに平原とあるのに、平原が完全に脇役になっている絵です。
さて、パステル画といえば、
モネの珍しいパステル画も展示されていました。
タイトルは、《霧のテムズ川》。
なんとも優しく、実に爽やかな色合いです。
サーティーワンのアイスクリームみたいな色合い。
もしくは、夏のバブみたいな色合い。
なお、4階展示室の特集コーナー展示では、
“挿絵本にみる20世紀フランスとワイン” が開催されています。
ワインや蒸留酒をテーマとする20世紀の挿絵本の数々を紹介するもの。
お酒が好きな人は、見終わった後に無性にワインを飲みたくなること必至の展示です。
また、会場の一部では、アーティゾン美術館が、
ここ近年特に収集に力を入れている芸術家の肖像写真コレクションも紹介されています。
中でも特に気になったのが、こちらのマネの写真。
シャルル・ロイトリンガーなる人物によって撮影されたものでしょうが。
マネ本人よりも、フレームが気になって仕方ありません。
この時代から、プリクラのフレームみたいなものがあったのですね。
最後に。
タイトルがどうしても気になってしまった作品をご紹介。
日本を代表する抽象画家・堂本尚郎による一枚です。
タイトルは、《集中する力》。
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いや、この荒々しい画面を見るに、
むしろ集中力は完全に切れているような。