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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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復活するという奇跡。

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美術の世界には、奇跡を起こしたヒーローが数多く存在する。
もしも、そんな彼らにヒーローインタビューを行ったなら・・・?

 

 

インタビュアー (以下:イ) 「放送席、放送席。
                 こちらには、キリストさんの弟子の一人、

                 聖トマスさんにお越しいただいております。」

トマス (以下:ト) 「・・・・・あのぉ?あなた、本当にインタビュアーですか??」

 

イ 「えぇ、そうですけど」

 

ト 「とうか、インタビューする人、僕であってます?

  本当はキリストさんにインタビューしたかったのに、

  キリストさんが見つからなくて、たまたまその辺にいた僕に声をかけたんじゃないですか?」

 

イ 「そんなことないですよ」

 

ト 「あっ、もしかして、これってドッキリ?!

  あの辺りにCCDカメラ仕込んでないですか?」

 

イ 「さすが、“疑いのトマス” と呼ばれるだけはありますね。

  本当に疑り深いんですね!」

 

ト 「すいません。そういう性分なんで」

 

ジョルジュ・ド・ラトゥール 《聖トマス》

 

 

イ 「ちなみに、トマスさんが先ほどから手にしている槍はなんですか?」

 

ト 「あ、これですか?キリストさんを刺した槍とも、

  私が処刑される際に使われた槍とも言われています。

  ただ、処刑された時の槍は、もう一回りサイズが小さかったような・・・。

  いや、そもそも、私って処刑されたんでしたっけ??」

 

イ 「・・・・・そこも疑ってかかるんですね。

  と、まぁ、それはさておき。

  本日、トマスさんにお越しいただいたのは、

  キリストさん最大の奇跡ともいわれる復活について、

  是非、弟子の中で唯一簡単には信じなかったトマスさんに、お伺いしたいと思いまして。

  ぶっちゃけ、最初にキリストさんが復活したと、

  他の弟子の方から聞かされた時はどう思いましたか?」

 

ト 「それはまぁ、正直、信じられなかったですよ。

  キリストさんは数々の奇跡を起こしてきましたけれど、

  一度死んだ人間が復活するだなんて、いくら何でもあり得ないですよ」

 

イ 「ですよね。でも、実際、復活されていたと」

 

ト 「そうですね。

  信じてなかったんですが、駆けつけてみると、

  そこには、キリストさんが生前の姿でいらっしゃいました」

 

イ 「なるほど。その光景を目の当たりにしたら、さすがに復活を信じましたか?」

 

ト 「いえいえ」

 

イ 「おっ、“疑いのトマス” の本領発揮ですね!」

 

ト 「本当に復活したのかどうか、確かめさせてもらうことにしました」

 

イ 「ほぅ、どのように?」

 

ト 「キリストさんの脇腹には、

  十字架で張り付けられていた際に、

  兵士から付けられた槍の傷があったんですね」

 

イ 「あぁ、先ほどチラッとそんな話が出ていましたね」

 

ト 「で、その槍傷に、私の指を突っ込ませてもらうことにしました」

 

カラヴァッジョ 《聖トマスの不審》

 

 

イ 「え?は?何で??」

 

ト 「あのですね。本物のキリストさんには、

  脇腹に槍の傷跡があるはずなんですよ」

 

イ 「いや、そこは疑ってないですよ!

  傷跡があるかどうかなんて、目で見て確認できますよね??」

 

ト 「もしかしたら、精巧にできた特殊メイクって可能性も・・・・・」

 

イ 「あんた、どんだけ疑り深いんだよ!

  傷口に指を突っ込まれる身になって考えてみろよ!

  ・・・・・で、どうだったんです?傷は本物でしたか?」

 

マッティア・プレティ 《聖トマスの不審》

 

 

ト 「本物でした。ちゃんと脇腹の中に指が2本入りました」

 

イ 「うわぁ、痛そう。。。

  キリストさん、何か言ってなかったんですか?」

 

ト 「はい。傷口に指を突っ込んで信じるのもいいけど、

  指を突っ込まずに信じたほうが良いと思うよ、と仰っていました」

 

イ 「それ、軽く嫌味入ってますよね・・・」

 

ト 「何はともあれ、おかげで私もキリストさんの復活を信じることができまして。

  嬉しさのあまり思わず地球の反対側の人に報告してしまいました。

  『反対側の人聞こえますかー!!』 って」

 

カール・ハインリッヒ・ブロッホ 《聖トマスの不審》

 

 

イ 「サバンナの八木さんのギャグですね (笑)」

 

ト 「ギャグ??」

 

イ 「えぇ、そういうギャグじゃないですか」

 

ト 「そうなんですか?!

  たまたま日本のTVでそんなシーンを見かけまして。

  そうやって大声で呼びかければ、地球の反対側の人に声が届くものなのかと」

 

イ 「・・・・・何でそこは疑わないんだよ!

   こちらからは以上です。放送席にお返しいたします」




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