2018年より4年連続で、世界幸福度ランキング第1位に輝くフィンランド。
サンタクロースやキシリトール、サウナをはじめ、
フィンランドと聞いて、頭に浮かぶものは多々ありますが。
やはり忘れてはいけないのが、フィンランドのデザイン。
そのシンプルなデザインセンスが日本の美意識に通ずるのでしょうか。
フィンランドのデザインは、多くの日本人の心を捉えています。
それゆえ、これまで、特にここ近年は、
フィンランドデザインにスポットを当てた展覧会が多数開催されてきました。
世田谷美術館での “アイノとアルヴァ展” や、
神奈川県立近代美術館葉山館での “カイ・フランク展”、
東京ステーションギャラリーの “ルート・ブリュック展” などなど、
例を挙げ始めたら、キリが無くなってしまうほどです。
さて、現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されているのは、
“ザ・フィンランドデザイン展-自然が宿るライフスタイル” という展覧会。
こちらは、フィンランドデザイン展の決定版ともいうべき内容の展覧会です。
20世紀建築界の巨匠アルヴァ・アアルトの傑作チェアや、
“フィンランド・デザインの良心” ことカイ・フランクの代表作 「キルタ」 シリーズ、
国民的作家ルート・ブリュックによるセラミックアートはもちろんのこと、
日本でも特に人気の高いイッタラやマリメッコといった、
フィンランドを代表するブランドのプロダクトの数々もあれば、
『ムーミン』 でお馴染みのトーベ・ヤンソンの絵画も!
フィンランドデザインのスーパースターが勢ぞろいした、
いわば、フィンランドデザインの紅白歌合戦のような展覧会です。
デザイン好きの皆様、これを観ずに2021年は越せません!
あ、2022年1月30日まで開催していますので、
今月中に行けなかった方は、年明けしてからでも。
さてさて、今回の展覧会では、約50人のアーティストによる、
1930~70年代に生まれたプロダクトが中心に紹介されていましたが。
とりわけ印象的だったのが、女性作家が半数を占めていたこと。
ルート・ブリュックやトーベ・ヤンソンを皮切りに、
タンペッラ社のデザイナー、マルアッタ・メッツォヴァーラや、
カイ・フランクに師事したサーラ・ホペアなど、
女性アーティストが多く取り上げられていました。
男女平等の国としても知られるフィンランド。
そのことがこの展覧会を通じて、強く実感できました。
なお、紹介されていた多数の女性アーティストの中で、
個人的に強く印象に残っているのが、ヴオッコ・ヌルメスニエミ。
フィンランドを代表するテキスタイルデザイナーであり、ファッションデザイナーだそうです。
何よりも印象的だったのが、そのヘアスタイル。
これほどまでにショートウルフが似合うのは、
ヴオッコ・ヌルメスニエミか綾波レイくらいなものでしょう。
女性テキスタイルデザイナーといえば、マイヤ・イソラも。
Unikkoをはじめ、マリメッコの代表的作品を多く生み出した伝説の女性です。
今展では、彼女の代表作の一つ 《カンムリカイツブリ》 (写真左) も紹介されていました。
デザインとしては大胆で目を惹く素敵なものですが。
どこがどうカンムリカイツブリなのでしょう・・・・・?
カンムリカイツブリの群れなのか。
はたまた、羽毛か何かなのか。
気になって気になって、夜も眠れないので、
毎度おなじみの鳥博士・高橋君にLINEしてみました。
すると、こんな回答が↓
「うーん。カイツブリの親鳥の冠の色と、
ヒナの縞模様が反映されてるのかなぁ」
なるほど!
ちなみに。
フィンランドデザインとタイトルにはありますが、
展覧会では、フィンランドの画家による絵画作品も紹介されています。
その中で一番印象に残っているのが、
アンフォルメルの画家マウリ・ファヴェンによる抽象画です。
そのタイトルは、《舟歌》。
自分は日本人ゆえ、そのタイトルを聞くと、
もはや条件反射的に八代亜紀の歌声が聴こえてきてしまいます。
じーっと観ていたら、あぶったイカのようにも、
ぼんやり灯った灯りのようにも見えてきました。
ダンチョネ。