現在、東京ステーションギャラリーでは、
“ハリー・ポッターと魔法の歴史” が開催されています。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
世界的に人気の高いファンタジー小説、
『ハリー・ポッター』 シリーズをモチーフにした展覧会ということで。
もちろん展覧会場には、世界各国の 『ハリー・ポッター』 シリーズの書籍や、
映画シリーズで使われた衣装といったアイテムが展示されています。
それに加えて、日本初公開となる、
原作者のJ.K.ローリング氏の直筆原稿やスケッチも多数展示されています。
J.K.ローリング 《ダイアゴン横丁の入り口のスケッチ》 1990年 J.K.ローリング蔵 ©J.K.Rowling
まさに、『ハリー・ポッター』 ファン垂涎の展覧会です。
では、『ハリー・ポッター』 に興味がない人は楽しめないかといえば、決してそんなことはありません!
というのも、この展覧会の展示品の半数以上が、『ハリー・ポッター』 関連アイテムではなく、
『ハリー・ポッター』 の世界の背景にある魔術や呪文、占い、錬金術などに関する展示品です。
実は、この展覧会の元となるのは、
2017年に大英図書館が企画・開催した "Harry Potter : A History of Magic"。
今展は、その国際巡回展に当たります。
大英博物館関連の展覧会はちょくちょく日本でも開催されていますが、
意外にも、大英図書館による日本での大規模な展覧会はこれが初めてなのだそう。
今展では、大英図書館が所蔵する貴重な書籍を中心に・・・・・
ヤコブ・マイデンバッハ 『健康の庭』 1491年 大英図書館蔵 ©British Library Board
「薬草書」 15世紀 大英図書館蔵 ©British Library Board
さまざまな魔法の世界に関する書籍や資料が、
「魔法薬学」 や 「薬草学」 「闇の魔術に対する防衛術」 など、
ハリーたちが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って紹介されています。
絵画や彫刻作品と同じくらいに、貴重なものである中世の書籍ですが、
普通に展示されていても、なかなか心が動かされないのが正直なところ。
しかし、『ハリー・ポッター』 と関連させて展示することで、
こんなにも心をワクワクさせる魅力的な展示品になろうとは!
まるで魔法のようでした。
さてさて、魔法がテーマの展覧会ゆえに、
魔女が実際に使っていたアイテムも展示されていました。
例えば、こちらの鍋はイングランドの魔女が薬を作るために使っていたもの。
また例えば、こちらの箒はオルガ・ハントなる魔女が実際に使っていたものなのだそうです。
キャプションでそう説明されているので、
きっと、おそらく、たぶん、そうなのでしょう。
魔女関連でいえば、こんなキャプションも。
このデザインのスクライング・ミラーは、
20世紀初頭のイングランドの魔女に非常に人気がありました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
えっ、魔女ってそんなにたくさんいたの?
てか、魔女の中で人気とかトレンドってあるの??
それはもう、魔女じゃなくて、ただの美魔女なのでは???
本気で書かれているのか。
それとも、魔法という設定を守って書かれているのか。
今展のキャプションのスタンスには、惑わされることが多々ありましたが。
一番正気を疑ってしまったのが、こちらのキャプションです (笑)
このキャプションの説明を信じるとすると、
どうやら、この紫の壁に透明マントがかけられているのだとか。
僕の心が汚れているからでしょう。
まったくもって何も見えませんでした。。。
心が清い人なら、透明マントが見えるのかもしれません。
しかし、こんなにも見えない繊維がこの世にあるだなんて。
もしかしたら、ニューイヤー駅伝の紛失してしまった優勝旗も、
この透明マントと同じ繊維で作られていたのかもしれませんね。
・・・・・と、それはさておき。
魔法の世界観を守り続けたキャプションでしたが、
さすがに、展覧会の最後のほうで展示されていた 《人魚ミイラ》 に関しては。。。
良心の呵責ゆえか、はたまた、何かしらの魔法が切れたのか、
「この人魚はおそらく本物ではなく」 と、本音がダダ洩れていました (笑)
そんな通常の展覧会と比べて、驚き度3割増しの展覧会でしたが、
何よりも驚かされたのは、ダ・ヴィンチの手稿がさらっと展示されていたことです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ 「天体にまつわるメモとスケッチ」 1506-1508年頃 大英図書館蔵 ©British Library Board
いや、これをもっとプッシュするべきでしょ!!
せっかくダ・ヴィンチの直筆の手稿が出展されているというのに。
そのことにほとんど触れられていないという、、、
一体、どんな魔法がかけられているのでしょう。