現在、渋谷区立松濤美術館では、昨年末の第1部に引き続き
“白井晟一入門” の第2部 「Back to 1981 建物公開」 が開催されています。
白井晟一という建築家にスポットを当てた第1部と打って変わって、
第2部は、白井建築の最高傑作と名高い渋谷区立松濤美術館の建物そのものが主役。
白井が思い描いていた当時の姿に、
可能な限り近づけて、建物を公開するものです。
それゆえ、第一展示室は、ご覧のような姿に。
展示品は一切なし!
置かれていたのは、白井がセレクトしたチェアのみ。
しかし、だからといって、ただ何もない展示室というわけではありません。
竣工当時の姿に戻すべく、通常展覧会を開催する際には、
光が入らないよう塞がれていた壁がすべて取り払われていました!
2層分の高さがあるものの、どこか閉鎖的な印象のある第一展示室。
しかし、光が差し込むと、こんなにも開放的な空間だったのですね!
何もない展示室では決してなく、
この展示室自体がインスタレーション作品のようでした。
また、続く第二展示室ですが、
こちらも何も展示していない・・・というわけではありません!
実は、竣工直後に白井は、私物を持ち込み、
会場における展示の効果を試したことがあったのだとか。
その時のイメージを限りなく再現すべく、
会場には白井の書や愛蔵品が展示されていました。
なお、第二展示室といえば、特徴的なのが、
こちらの黒い革張りのふかふかな高級ソファです。
座り心地抜群で、居眠りするひと続出のこのソファは、
コロナ以降、感染予防の観点から座ることができなくなっていました。
しかし、今回、約2年ぶりに使用が解禁に!
ゆったり座ってくつろぎながら、この空間を味わうことができます。
美術館にいるというよりは、誰かの邸宅にいるような。
そんな不思議な感覚に陥ること請け合いです。
さて、展覧会の見どころは他にも。
普段は公開されていないところが、
今展に限り、なんと特別に公開されています!
例えば、中庭に浮かぶブリッジ。
また例えば、4階層を繋ぐらせん階段の終点 (?)。
通常、ここは物置的に使われているので、
このようなスッキリした姿では観られません。
そして、何よりも特筆すべきなのは、
これまで非公開だったという地下2階の茶室です!
松濤美術館にはもう10年近く通っていますが、
館内に茶室があっただなんて、初めて知りました。
なお、開館から40年経ちましたが、
この茶室は一度も茶室として使われたことはないそうです。
・・・・・いや、何のために作ったんだ。
ちなみに。
非公開の場所といえば、運が良ければ、
期間中に開催される建築ツアーによっては、館長室も案内してもらえるとのこと。
《渋谷区立松濤美術館》 館長室 撮影:上野則宏
全体が赤で統一された唯一無二の館長室。
館長の部屋というか、『007』 シリーズの悪役の部屋のようです。
世界征服を企んでいる悪役。
しかも、常にシャム猫を撫でてるタイプの。