魚屋や米屋、ラーメン屋、時に居酒屋の店員さんが腰元にまとっている前掛け。
その歴史は意外と古く、
諸説あるものの、起源は室町時代にまで遡るそうです。
そんな日本の伝統的な作業着である前掛けの代表的な産地、
愛知県の織機メーカーのうちの一つに、豊田自動織機製作所があります。
そう、今のトヨタ自動車の前身にあたる企業です。
そんなTOYOTAの約100年前のシャトル織機を用いて、
144人のクリエイターとともに、100年経っても使える前掛けを作ろうというのが今展。
その名も、”百年前掛け” です。
クリエイションギャラリーG8の会場には、
国内外で活躍するクリエイターがデザインした前掛けがズラリ勢ぞろい。
これらはすべて職人さんの手作業によって1点1点染め抜きで作られたものです。
なお、それらの前掛けの中には、世界的なアートディレクター浅葉克己さんや、
カルト的な人気を誇るイラストレーター・宇野亜喜良さん、
山種美術館やDIC川村記念美術館をはじめ多くの美術館のサインを手掛ける色部義昭さん、
さらには、昨年10月に逝去されたグラフィックデザイナー・仲條正義さんがデザインしたものも。
意外なところでは、数年前にいろいろあった佐野研二郎さんによる前掛けもありました。
本人曰く、「東京七輪CAMPというのがあったら楽しいだろうなあと思いました。」 とのこと。
どうやら彼はまだあの一件を引きずっているようですね。
また、数寄屋橋交差点をモチーフにした小野勇介さんの前掛けや、
20個の扉がデザインされた太田徹也さんの前掛けも印象的でしたが。
個人的にやはり一番印象に残っているのは、
グラフィックデザイナーの三木健さんが手掛けた前掛けです。
こちらのデザインは、僕がキュレーターデビューを飾った展覧会、
富山県美術館の “TADのベスト版 コレクション+” ポスターのメインビジュアルになったもの。
4人のゲストキュレーターをイメージしていると思われますので。
この4つの横顔のうちのいずれかが、僕ということなのでしょう。たぶん。
印象的だったと言えば、アートディレクター・中嶋貴久さんによる前掛けも。
これは・・・・・その・・・・・いわゆるアレですよね。
で、これを腰に巻くわけですから・・・・・位置的にちょうど・・・・・。
「中嶋さん、あんたも好きねぇ(笑)」 なんて思っていたら・・・・・・・
とありました。
アレだとばかり思い込んでいた数秒前の自分を殴りつけてやりたいです。
さてさて、実はこの展覧会に会場は、
クリエイションギャラリーG8だけではありません。
そこから歩いて数分ほどの位置にあるガーディアン・ガーデンでも開催されています。
こちらでは、関川航平さんをはじめ、
ガーディアン・ガーデンゆかりのアーティストの前掛けを展示。
クリエイションギャラリーG8と比べて、
アート寄りな前掛けの数々が展示されています。
なお、この2会場を巡ると・・・・・
前掛けの腰ひもで作られたオリジナルポチ袋がもらえちゃいます。
こちらのポチ袋もすべて手作業で作られているとのこと。
無料で楽しめる上に、こんな素敵なプレゼントもあるだなんて。
もっと繁盛すべき展覧会です。
ちなみに。
展示された前掛けの数々を前にすると、
「あー、欲しいなァ」 と思ってしまうこと必至。
実はなんと、これらの前掛けはすべて購入が可能となっています!
一律、1点6500円。
しかも、完全受注生産なので、
確実にゲットすることができます。
受付締め切りは、1月22日まで。
どれを注文するか、ギリギリまで真剣に悩もうと思います。