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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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エントリーNo.0011 錦絵(葛飾北斎 歌川広重)

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もしも、芸術家たちが漫才をしたら・・・

こんな感じのネタを披露するのかもしれません。
それでは、皆様、どうぞ芸術漫才をお楽しみください!

 

 

 

北斎[1] 「どーもー!!こーんにーちはー!!」

 

広重[2] 「(北斎の頭を叩いて)うるせぇな」

 

北斎 「長生きする薬[3]を作ったよ」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)早く飲めよ。

     どうも錦絵[4]です、よろしくお願いします」

 

北斎 「お願いしまーす。ありがとうございまーす!

    さぁ、頑張っていきましょうか!」

広重 「頑張ってください」

北斎 「俺ね。富士山の絵をいっぱい描こうと思ってるんだよね」

 

広重 「面白そうだね」

 

北斎 「名付けて、《冨嶽三十六景》[5]

 

広重 「富士山はどこから描いても絵になるからね。で、どこから描くの?」

 

北斎 「まずは、下目黒でしょ」

 

 [6]

 

広重 「あぁ、確かに。あそこから富士山はよく見えるよね」

 

北斎 「それからね。信州の諏訪湖」

 

 [7]

 

 

広重 「諏訪湖も見晴らしがいいからね」

 

北斎 「あとは、名古屋あたりからも描きたいな」

 

 [8]

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)どんどん遠ざかってるよ。

    名古屋あたりで描いた絵なんて、富士山小さすぎだろ」

 

北斎 「あれー、本当だ!富士山どこにあるんだ?」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)忘れたのかよ。

    富士山描くならもっと近くで描けよ」

 

北斎 「サラサラサラ。はい。描けました」

 

広重 「おぉ、じゃあ、見せてみな」

 

北斎 「はい、富士山の絵だよ!」

 

 [9]

 

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)近すぎんだろ。

    近づきすぎて、山かどうかもわかんなくなってんじゃねぇか。

    あのさ、富士山の絵って言ったらさ、

    やっぱり湖面に映る逆さ富士とかがいいんじゃねぇの?」

 

北斎 「なるほど。それはいいね!サラサラサラ。逆さ富士、描けました!」

 

 [10]

 

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)どうなってんだよ。

    湖面に映る富士山が線対称じゃなくて点対象になってんじゃねぇか。

    しかも、富士山の姿すら変わってるし」

 

北斎 「♪黄色富士の反対は~灰色富士~」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)ずっと何言ってんだよ」

 

北斎 「あっ!今思い付いたんだけどさぁ!

    海の上から見た富士山を描くのはどうかな?」

 

広重 「そんな絵は誰も描いてないかもね」

 

北斎 「じゃあ、ちょっと神奈川沖に行ってくる!

    てくてくてく。あ、富士山発見!よーし、描くぞ!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)何で海の上を歩けるんだよ」

 

北斎 「あー、本当だ!ここは海だった!ぶくぶくぶく。

    あー、波も来た。ザッパーン!ぶくぶくぶく」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)溺れてんじゃねぇかよ。

    歩いて行けるわけねぇんだから、船で行けよ」

 

北斎 「よーし!船で神奈川沖までやってきたぞ。

    あ、富士山発見!さて、描くぞ!ザブーン!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)何で海に飛び込むんだよ。

    船の上で描けよ」

 

北斎 「だって俺、船酔いしちゃうんだもん」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)知らねぇよ」

 

北斎 「さぁ、立ち泳ぎしながら描くぞ・・・・・って、あー、大変だ!」

 

広重 「何があったんだよ」

 

北斎 「筆を海水に浸けてたら、墨がどこかに消えちゃった!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)当たり前だろ。

    濡らさないようにしておけよ」

 

北斎 「あー、こっちも大変!」

 

広重 「今度は何だよ」

 

北斎 「紙を海水に浸けてたら、それもどこかに消えちゃった!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)お前は本当にバカだな!

    70歳過ぎて[11]そんなこともわかんねぇのかよ」

 

北斎 「あー-!!」

 

広重 「まだあんのかよ」

 

北斎 「ずっと海に入ってたら、俺の服も消えちゃった!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)どんな服着てきたんだよ!

    お前の服、紙で出てきてんのか!なぁおい!」

 

北斎 「あー--!!!」

 

広重 「いつまでやるんだよ!」

 

北斎 「俺が乗ってきた泥船が無い!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)泥船だからだろ!

    『かちかち山』 読んで勉強しなかったのかよ」

 

北斎 「・・・・・と、まぁ、そんな感じで、

    いろんなところから富士山を描いて、

    《富嶽三十六景》 を完成させたいんだよね」

 

広重 「で、結局、何か所描くわけ?」

 

北斎 「えーと、あそこからも描くでしょ。

    あの海からも描くでしょ。あの宿からも描こうかな・・・・・全部で46か所[12]!」

 

広重 「(北斎の頭を叩いて)三十六景じゃなかったのかよ!

    どうもありがとうございました」

 

 

[1]葛飾北斎 (1760?~1849) 

   江戸時代後期の浮世絵師。 ゴッホやモネら海外の芸術家にも大きな影響を与えた。

   アメリカの雑誌 『ライフ』 の企画 「この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人」 で、日本人として唯一86位にランクイン。

   平均身長が155㎝だった江戸時代ながら、身長は180㎝あったとも。

 

[2]歌川広重 (1798~1858)

   本名は安藤重右衛門。もともとは火消同心だったが、脱サラ(?)して浮世絵師に。

   北斎と同じく、やはりゴッホやモネらに大きな影響を与えた。代表作は 《東海道五十三次》《名所江戸百景》

  

[3]龍眼肉 (ライチに似た果物を乾燥させたもの) 60gと白砂糖30g、

   極上の焼酎一升を壺に入れ、しっかりと蓋をして60日間置くと完成。

   北斎は、この自家製の薬を朝と夕に猪口で2杯飲んでいたそう。

 

[4]江戸時代の中ごろに技法が確立された多色刷りの浮世絵のこと。

   それまでは1枚1枚手彩色していた。

 

[5]天保年間に発行された北斎の代表作。

  特に人気の高い 「神奈川沖浪裏」「凱風快晴」「山下白雨」 は三役と呼ばれる

 

[6]《冨嶽三十六景 下目黒》


[7]《冨嶽三十六景 信州諏訪湖》

[8]《冨嶽三十六景 尾州不二見原》

[9]《冨嶽三十六景 緒人登山》

[10]《冨嶽三十六景 甲州三坂水面》

[11]北斎が《冨嶽三十六景》シリーズを手掛けるのは72歳になってから

 

[12]当初は36図の予定が売行き好調のため、のちに10図追加された。

    追加された10図は、「裏不二」 と呼ばれる。




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