現在、すみだ北斎美術館で開催されているのは、
“北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―” という展覧会です。
テーマはズバリ 「日本の歴史」。
葛飾北斎やその弟子によって描かれた、
歴史上の人物や事件を描いた作品を紹介する展覧会です。
富士山や滝、橋を描いている印象はあるものの。
“北斎って、偉人や日本史のトピックを描いていたっけ??”
と、展覧会の趣旨に対して半信半疑なところがあったのですが。
上杉謙信と武田信玄の一騎打ちを描いたものを筆頭に、
葛飾北斎『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄 すみだ北斎美術館蔵(通期)
聖徳太子や紫式部、宮本武蔵など、
日本史上のスーパースターたちが描かれていました。
さらに、蘇我入鹿や、
葛飾北斎『絵本魁』二編「朝敵曽我の入鹿の大臣」 すみだ北斎美術館(通期:パネル展示)
仏教伝来など、
葛飾北斎『三国伝来記』 すみだ北斎美術館 (前期)
そういえば、歴史の授業で習った人や話題も多く描かれていました。
北斎に描けぬものなし。
そう、改めて痛感させられる一方で、
このような挿絵のある歴史本が数多く出版されているということは、
江戸時代にすでに、現在のような歴史観があったことも実感させられました。
今も昔も、日本人は歴史が好き。
北斎を通じて、そんな事実が明らかになる展覧会です。
ちなみに。
仏教伝来が描かれた 『三国伝来記』 という冊子は、
長野県にある善光寺の本尊の由来を紹介するもので。
なんと、現時点で世界で2冊しか確認されていないという超レアなアイテムです。
すみだ北斎美術館で公開されるのは、今回が初!
小さな冊子なので見逃し厳禁です。
なお。
歴史好きの歴史好きによる歴史好きのための展覧会。
今年の大河ドラマ 『鎌倉殿の13人』 の主人公、
北条義時を描いた作品も、当然のごとく抑えられていました。
蹄斎北馬『星月夜顕晦録』二編 一「北條相模守義時 畠山次郎平重忠」すみだ北斎美術館(通期)
おそらく右に描かれているのが義時でしょう。
なかなか悪だくみしそうな顔で描かれています。
どうでもいいですが、袴が長すぎ。
袴というより、一瞬こたつに見えました。
また、他に印象的だったのが、
北斎の門人・葛飾北嵩が描いたこちらの一枚。
葛飾北嵩『唐金藻右衛門 金華夕映』弐「満祐義教公をいさめる」すみだ北斎美術館(前期)
思わず二度見してしまったのが、右ページに描かれている男性、
室町幕府6代将軍・足利義教をのちに殺害することになる赤松満祐です。
ヘアスタイルがまるでパンチパーマのよう。
しかも、剃り込み強め。
どおくまんの漫画のキャラクターかと思いました。
それと、もう一つ印象的だったのが、こちら、
葛飾北斎『絵本魁』初篇「鎌倉権五郎景政勇力」すみだ北斎美術館(後期:パネル展示)
たまたまなのか、それとも意識的なのでしょうか。
平安時代後期の武将・鎌倉景正の右手が、
右ページでは普通に、左ページではまるでサイボーグのようになっています。
『ターミネーター2』 のシュワちゃんを彷彿させます。
ダダンダンダダン。