現在、21_21 DESIGN SIGHTのギャラリー3では・・・・・
“メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション” という展覧会が開催されています。
その世界では知る人ぞ知るフランスのアンティークディーラー、イヴ・ガストゥ。
惜しまれながら2020年にこの世を去った彼が、
プライベートで熱心にコレクションしていたものが、指輪。
それも、男性用の指輪でした。
指輪のコレクターはそれほど珍しくないですが、
男性の指輪だけに特化したコレクターは、おそらくイヴ・ガストゥただ一人ではないでしょうか。
そんなイヴ・ガストゥのメンズリングコレクションの中から、
ほぼ半数近い約400点が、今展で日本初公開されています。
今ではすっかり 「指輪=女性のアクセサリー」 というイメージがありますが。
実は、そのイメージが定着したのは、フランス革命以後とのこと。
それまでは、施政者や聖職者の男性も普通に指輪を身に付けていたそうです。
例えば、こちらはヴェネツィア元首の指輪。
(正確には、ルネサンス期のオリジナルをモデルとして19世紀に作られた複製品)
この指輪の中に蜜蠟が入れられるようになっており、
それを溶かして手紙に垂らした後に、指輪の印章部分を押し付けるのだそう。
機能性を兼ね備えた指輪です。
また、こちらは聖職者が身に付けていたという指輪。
アメシストは、司教の紫衣と同じ色ゆえ、
悪しき考えや悪しきことを追い払う魔除けの意味合いもあるのだとか。
ちなみに、その右に飾られていたシンプルな十字架デザインの指輪ですが・・・・・
横から見ると、若干メリケンサック感がありました。
いざという時には、パンチ力がアップ。
そういう意味では、こちらも機能性を兼ね備えた指輪といえるかもしれません。
彼のコレクションの中でも特に見ごたえがあるのは、
やはり18世紀や19世紀の貴重なアンティーク指輪の数々です。
貴重なものであるのは重々承知しているのですが、
なんとなく、“ドラクエみ” があるものが多かったような気がします。
もしかしたら、僕が見落としただけで、
たぶん1個くらい 「いのりのゆびわ」 があったかもしれません。
また、イヴ・ガストゥのメンズリングコレクションには、
アンティーク指輪だけでなく、1970年代アメリカのバイカーリングも含まれています。
世界観が完全に 『マッドマックス』。
もしくは、『チャンプロード』 の通販ページ。
偏見も偏見ですが。
こういう指輪を好んでつけている男性とは、
たぶん一生仲良くなれないような気がします。
指輪をはじめ、アクセサリーを付けたいと思ったことは、ほぼほぼ無いのですが。
展覧会を通じて、男性の指輪の歴史の深さ、
その多様性を学んだことで、指輪に対する抵抗感が無くなりました。
むしろ、積極的に付けてみようという気にさえなりました。
そういう気持ちになれただけでも、訪れた甲斐はあったような。
ただし・・・・・・
残念ながら、僕個人の好みとしては、
イヴ・ガストゥ のコレクションの中には、
欲しいと思える指輪は一つとしてなかったです (笑)
ちなみに。
これだけ内容の詰まった展覧会ですが、
入場料は、太っ腹にも無料となっております。
さらに!
展覧会を訪れた方はもれなく・・・・・
このしっかりと作られた図録が一冊もらえます。
もちろん無料!
太っ腹にもほどがある展覧会です。