昨年9月、小田原市に文化・芸術拠点となる多目的ホールが誕生しました。
その名も、小田原三の丸ホール。
でも、正式名称は、小田原市民ホールです （←どっちだよ！）。
その開館記念事業として、現在開催されているのが、
“コネクションズ―さまざまな交差展—” という展覧会です。
出展されているのは、人気現代アーティスト4人。
その中心となるのが、小田原にアトリエを構える彫刻家の三沢厚彦さんです。
今展には、キメラをモチーフにした近作の 《Animal 2020-03》 と、
小鳥をモチーフにした 《Bird2022-03》 が、その足元に出展されています。
また、おそらくまだ未完成と思われる 《Animal 2022-01（仮）》 も出展されていました。
こちらは単体で展示されているのではなく、
出展作家の一人である志村信裕さんの映像作品 《Dance》 と、
真鍮製のセミの抜け殻と、その鳴き声がイヤホンから流れる八木良太作 《Cicada》 とのコラボ作。
まさに、展覧会タイトルにあるように、
“コネクションズ” なアート作品といえましょう。
なお、八木さんは、4人目の出展作家、
写真家の浅田政志さんともコラボを果たしていました。
それが、こちらの 《Imaginary Friend》 という作品です。
写真を撮影する際に、手ブレしてしまったというわけではありません。
肉眼でも、このような状態でしか見えません。
が、大人の目線から子どもの目線になってみると、
つまり、下から覗き込むような視線で作品を観てみると・・・・・
ちゃんと写真の姿が浮かび上がるのです。
何でもこの額装の表面に、観る角度によって、
視界が変化する特殊なフィルムが貼られているのだとか。
大人になると、視界が曇ってしまう。
そんな悲しく切ない事実を、可視化したかのような作品でした。
展覧会では他にもいくつか作品が出展されていましたが、
特に印象に残っているのが、浅田政志さんの 《小田原町人絵巻》 という作品。
小田原の町に暮らし、さまざまな分野で活躍する人々を、
浅田さんらしさ全開、ユーモラスに撮影し、絵巻物仕立てにしたものです。
浅田さんの引き出し力によるものなのか。
それとも、小田原の人々のポテンシャルなのか。
どの写真も仕込みを疑ってしまうほど、
モデルが素人さんとは思えませんでした。
ダーツの旅の村人くらい、一人一人キャラが立っていました。
小田原を舞台にした作品といえば、
志村信裕さんによる完全新作の映像作品も。
縦型の映像に、何かしらの工場内の様子が映し出されています。
さて、突然ですが、ここでクイズです。
こちらの工場は何を作っているのでしょうか？（出展：『クイズ世界はSHOW by ショーバイ』）
ヒントは、小田原を代表する食品です。
正解は、こちら↓
かまぼこでした。
13分を超える映像作品ですが、
ナレーションやテロップは一切ありません。
しかし、動きの心地よさ、映像の色彩美のおかげで、
退屈することなく、最後までイッキ見してしまいました。
帰りに、かまぼこを買って帰りたくなること必至の作品です。
最後に、もう一つ印象的だった作品をご紹介。
八木良太さんの 《Secret Signs》 という作品です。
こちらの作品は展覧会スぺースではなく、
一般利用客も使用するスペースに展示されています。
通路の両端には、パラメトリック・スピーカーが設置されています。
この超指向性のスピーカーによって・・・・・
回廊を通った人の耳元にいきなり、
男性の囁くような声で謎めいた単語が聞こえてくるという作品です。
展覧会を鑑賞している人にとっては、
出展リストにより、作品の一つと認識できますが。
何も知らない人がここを通った際に、
いきなり耳元で男性の声が聞こえてきたら、さぞかし恐怖を感じることでしょう。
ちなみに。
僕がこの作品を鑑賞 （視聴？） した際には、
「フリーメーソン」 という単語が聞こえきました。
誰もいないのに、耳元でふと男性の囁き声で、
「フリーメーソン」 と聞こえてきたら、自分が正常かどうかを疑うはず。
もしくは、天啓か何かと思い、フリーメーソンに入会してしまうはずです。
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