現在、東京・大手町にある三井住友銀行東館では、
“SMBC meets Contemporary Art ~Come take a look!” が開催されています。
こちらは、三井住友フィナンシャル (SMBC) グループが、
新たに立ち上げたアートの取り組み 「SMBC ART HQ」 の企画第1弾。
ミスミグループの創業者で、アートコレクターでもある田口弘氏が、
長年かけて収集したコレクションから選りすぐりの18点を展示したものです。
キース・へリングやジュリアン・オピー、
宮島達男さんといった、
有名どころ、人気どころのアーティストの作品ももちろん抑えられていますが。
メキシコのホセ・ダヴィラやポーランドの画家ウィルヘルム・サスナル、
日本国内ではなかなか作品を見る機会のないシカゴ出身のドナ・フアンカをはじめ、
ほとんどのアーティストが、日本では無名な方ばかりでした。
へー。銀行で現代アート展が開催されるんだ。
ふーん。どうせ有名どころの作品並べるだけでしょ。
正直なところ、会場を訪れるまで、
なんとなくそんな印象を抱いていましたが。
いい意味で、裏切られました。
そんじょそこらの美術館で開催される一般的な現代アート展よりも、アート純度が高め。
こんな展覧会が無料で観られるとは。
「SMBC ART HQ」 のこれからにも期待です。
出展されている作品の中で特に印象的だったのが、
南アフリカ出身のハルーン・グン=サリによる 《センザニナ(われわれが何をしたの)》。
こちらの作品は、南アフリカのとある鉱山で、
2012年に実際に起こった事件がもとになっているそう。
待遇改善を求めた黒人労働者たちが、1週間のストライキの後、
それを排除しようとした警察の発砲によって射殺されたのだそう。
その惨劇の瞬間に座り込んでいた17人の姿を再現したものです。
作品自体にももちろん考えさせられましたが。
資本主義への批判も含まれている作品が、
資本主義の象徴ともいうべき銀行で展示されている、
その事実に、いろいろと頭をよぎるものがありました。
資本主義批判といえば、この作品も。
コラクリット・アルナーノンチャイの 《無題(歴史を描く)》 です。
キャンバスの表面に張り付けられていたのは、燃やされたデニム。
デニムは、アメリカのグローバリゼーションを象徴なのだとか。
こんな作品を本館に飾って、アメリカの企業との関係性が悪化しないのか。
僕が心配することではないのですが、SMBCグループが心配でなりません (笑)
他にもまだ資本主義を皮肉ったような作品はありましたが。