現在、横浜市歴史博物館では、
“美術の眼、考古の眼” が開催中。
『金鳥の夏、日本の夏』 みたいなその展覧会名からは、
今ひとつ、内容のイメージが湧かないかもしれませんが。
縄文土器と現代美術を組み合わせたユニークな展覧会です。
本展に参加している現代アーティストは、全部で3名。
1人目は、松山賢さん。
縄文土器や土偶からインスピレーションを受け、
縄文の紋様を怪人化 (?) させた立体作品で知られる作家です。
会場には、多数の立体作品が展示されていましたが。
実は、画家としてキャリアをスタートさせた松山さん。
平面作品も併せて展示されています。
ただ、「縄文×怪人」 というぶっ飛んだ発想の持ち主ゆえ、
その平面作品も、もちろん一筋縄でいくわけがありません。
渦巻紋様×怪人×オプ・アート (※)。
(※オプアートとは、1960年代中頃に流行った錯視の効果を応用した抽象絵画)
パッと見、渦巻紋様しか描かれてないように思えますが、
よーく目を凝らすと、人物や怪人の姿が浮かび上がってきます。
なお、デジタルで制作しているのかと思いきや、すべて手描きとのこと。
描いてる最中に、目がグルングルンしないのか心配になってしまいました。
2人目の作家は、薬王寺太一さん。
縄文土器に感銘を受けて以来、
穴窯で土器を制作し続けている陶芸家です。
古代文明のようでもあり、
スチームパンクのようでもあり、近未来的でもあり。
その唯一無二な造形センスには圧倒されること請け合いです。
そして、3人目のアーティストは、日本画家の間島秀徳さん。
間島さんは先述した2人と違い、
縄文ではなく、水をテーマに制作を続けていますが。
なんでも、2019年に八ヶ岳美術館で開催された個展の際に、
古代から繋がる自然と人々の暮らしに想いを馳せる新作を制作したそうで、
その縁から、この展覧会に参加することとなったのだそうです。
さて、会場では、そんな3名の現代美術作家による作品 (新作含む) と、
横浜市歴史博物館が所蔵する縄文土器 (しかも、美品)が別々に展示されているのではなく!
一緒くたに展示されています!!
なんという、ごちゃまぜ感 (←褒めてる)。
なんという、カオスっぷり (←めっちゃ褒めてる)。
特に圧巻だったのは、間島さんの新作 《Kinesis No.749(sansui)》 を使った展示。
なんと作品の上に縄文土器と、
松山さんが制作した土器が置かれていました。
しかも、直置き!
常識的には考えられない展示方法ですが、
むしろ間島さん本人から、そうしてみては?と提案があったそうです。
なお、松山さんによるヘビ型 (ツチノコ?) の作品が、
たまたまでしょうが、間島さんの絵とシンクロしていました。
縄文土器と現代アート。
一見ミスマッチな印象を受けますが。
その両者を並べて展示したことで、
縄文土器のアートな一面が浮き彫りになってました。
もしかしたら、いや、きっと縄文土器は、
当時のアートティストたちが制作していたのでしょう。
というのも、展覧会をしばらく観ていたら、
縄文土器と薬王寺さんの作品の区別がつかなくなってきました。
というわけで、皆様にも見極めチャレンジをして頂きましょう。
片方が縄文土器で、片方が薬王寺さんの作品です。
正解は・・・・・・・・・
Aの土器です。
お分かりになりましたか?
ちなみに。
本展に合わせて、ミュージアムショップでは、
薬王寺さんと松山さんの作品も販売されています。
いろいろ目移りした末に、
こちらのぐい呑みをコレクションに迎え入れました。
普通の日本酒というよりも、
どぶろくに合いそうな気がします。