現在、クリエイションギャラリーG8では、
“AC部 異和感ナイズ展” が開催されています。
AC部とは、1999年に、多摩美術大学出身の安達亨さん、
板倉俊介さん、安藤真結さんの3名で結成されたクリエイティブチーム。
そのシュールにもほどがある作風は、謎の中毒性があります。
なお、彼らが手掛けたクリープハイプ 『愛す』 のPVは、
第24回文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品に選出されています。
さて、そんなAC部が結成時から今日まで、
もっとも大事にしているコンセプトというのが、『違和感』。
いかに違和感を作り出すか。
それをモットーに活動してきたそうです。
本展は、そんなAC部の根幹ともいうべき、違和感をテーマにした展覧会。
違和感をテーマにした展覧会ながら、
タイトルでは 「異和感」 と表記されていることが、すでに違和感ですが。
展覧会では、違和感をテーマに制作した新作の数々が紹介されています。
例えば、こちらの 《HEROLEX/OOMEGA》 という作品。
展示されているのは、AC部のテイスト全開のCM映像とその絵コンテ。
どうやら、HEROLEXとOOMEGAという、
なんか似たような名前が頭をよぎる時計のCMのようです。
もちろん、そんな時計は実在せず。
架空のブランドの架空のプロダクトを、
AC部がプロモーションしてみたという作品です。
それゆえ、展示台の上には、実際の腕時計は展示されていません。
が、しかし、指定のQRコードをスマホで読み取り、
この台の上を覗いてみると、ARの腕時計が出現する仕組みに。
しかも、時刻は現在時間を指すように設定されています。
キャプションによると、(※現在時刻が不明な方は是非お試しください。) とのこと、
・・・・・いや、冷静に考えたら、
スマホを取り出した時点で、現在時刻がわかるでしょ。
また、例えば、こんな作品も。
大型キャンバスに描かれた絵画を、
《価値観査定機「Secondary's」》 を通すと・・・・・
その美的価値が独自のアルゴリズムで、
すぐさま査定され、貨幣価値化され、モニターに反映されます。
なお、キャンバスに描かれた絵画は、
来場者によって、どんどん描き足されたもの。
僕が訪れた時点では、こんな状態。
価格にすると、日本円で約215万円となっていました。
(本当にその価格で売れるかは別として)
せっかくなので、僕もキャンバスに描き足してみることに。
画面の中央に、大きく赤いバッテンを足してみました。
さて、価格は上がったのか、
それとも、下がったのでしょうか。
オープン・ザ・プライス!
約236万円に上がっていました。
×一つで、約21万円。
意外と絵の才能があるのかもしれません。
((本当にその価格で売れるかは別として)
さて、続く展示室で紹介されていたのは、
こちらも新作となるアクリル画の数々でした。
AC部にしては、大人しめなテイスト。
AC部にしては、それほどシュールではありません。
と、普段とのギャップに違和感を覚えながら、
最後の展示室に入ると、そこには映像作品が。
しかも、先ほどの絵画をモチーフにした映像作品が流れていました。
(注:ここからはネタバレを含みます)
普通の絵画のように思っていましたが、映像によって、
実は、無数の平面をレイヤーにしたものだったことが判明。
ネタ晴らしをされた後に、改めて平面作品を観ると、ストンと腑に落ちるものがありました。
そういえば、会場の冒頭に飾ってあった作品もレイヤーになっていましたね。
展示室の片隅に置かれていたオブジェも・・・・・
おそらくレイヤーを意識していたのでしょう。
伏線の回収が見事な展覧会でした。