「東の大観、西の栖鳳」 と並び称された近代日本画の巨匠・竹内栖鳳。
今年2012年は、そんな竹内栖鳳の没後70年という節目の年です。
その節目の年に、近代日本画の殿堂・山種美術館では、
“没後70年 竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―” という大々的な回顧展を開催しています。
山種美術館のマスターピースの1つ 《斑猫》 を筆頭に、
初期の作品 《飼われたる猿と兎》 から、
晩年の作品 《雄風》 まで。
まさに傑作ぞろいで、近代日本画の殿堂・山種美術館ならではの竹内栖鳳展でした。
貫禄の2つ星。
さすがに竹内栖鳳の作品は何度も目にしていますが、
実は、このような回顧展という形で観賞するのは、初めてのこと。
まとまった形で、栖鳳の作品を観ると、ある意外な一面が浮かび上がってきました。
それは・・・
「竹内栖鳳の屏風作品は、わりかし気持ち悪い (笑)」
ということ。
もちろん、全部が全部というわけではありません。
京都画壇の大家である竹内栖鳳だけに、これまで、違和感なく上品な印象を抱いていましたが。
今回出展されていた 《百騒一睡》 しかり、 《雨霽》 しかり。
そして、 《若き家鴨》 しかり。
(注:展示は10月28日まで)
鳥を、なぜかワラワラと描く傾向がありました。
しかも、一隻に偏って。
特に、 《百騒一睡》 における雀のワラワラ感はハンパじゃありません!
ヒッチコックの 『鳥』 の恐怖と紙一重でした (笑)
(画像は、ありません。あしからず)
また、鳥以外の屏風作品で印象に残っているのが、 《虎・獅子図》
何かを話したがっているかのようなライオンと、
それをうっとうしく思っているような虎の組み合わせが、絶妙です。
ライオン「今日さ、家族連れ多くね?」
虎「・・・・・。(うっせーな。午後からシフト入っているんだから、休ませろよ)」
おそらく、そんなサファリパークでの1コマ。
・・・と、僕のどうでもいい妄想は、さておきまして。
今回の竹内栖鳳展で、 《絵になる最初》 を観ることが出来たのには、軽く興奮しました
(注:決して、性的な意味ではありません!!)
こちらは、竹内栖鳳の代表作の一つ。
モデルが裸体を晒す前の恥じらう姿を描いた作品です。
もし、この女性が、恥じらうことなくスパーンと脱いでいたら、
きっと、この傑作は生まれなかったことでしょう (笑)
日本の女性の皆様、恥じらいって大切ですね (←何目線での発言??)
ちなみに、この絵の隣には、当時の高島屋が、
《絵になる最初》 に描かれた女性の着物を再現して売り出した “栖鳳絣” が展示されていました。
この栖鳳絣は、爆発的にヒットしたのだとか。
う~ん、当時の女性は、どういう気持ちで、この栖鳳絣を購入していたのだろうか。
数々の栖鳳作品が展示されていましたが、
個人的に一番惹かれたのは、 《風かおる》 という作品。
パッと見ると、普通にイイ感じの小品にしか見えませんが。
この絵に近づいて、よ~く観てみると、葉の部分の絵具がこんもりと盛り上がっているのです。
なかなか日本画では見られないマチエール (質感) なので、
興味を惹かれて、しばらくマジマジと眺めてしまいました。
もし、この絵をくれるというのなら、貰いたいものです (←絶対に、言われるわけがない!)
さて、今回の竹内栖鳳展には、栖鳳の作品だけではなく。
栖鳳が影響を受けた京都の先人たちの作品や (例:円山応挙 《龍唫起雲図》)
竹内栖鳳の弟子たちの作品 (例:上村松園《新蛍》) も紹介されています。
そんな中で印象的だったのが、
動物画に関しては師の栖鳳を超えるとも評される西村五雲の 《白熊》 という作品。
絵から獣の匂いが漂ってきているような。
そんな迫力に満ちた作品でした。
この絵が見えるところに、 《斑猫》 が飾られていたのですが・・・
普段は愛くるしく見える 《斑猫》 の猫が、
今回だけは、白熊に怯えきっている姿のように見えてしまいました (笑)
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没後70年 竹内栖鳳 ―京都画壇の画家たち―
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