今年2022年で開館40周年を迎える埼玉県立近代美術館。
それを記念して、現在開催されているのが、
“扉は開いているか―美術館とコレクション 1982-2022” という展覧会です。
この展覧会でフォーカスされているのは、
埼玉県立近代美術館 (MOMAS) そのもの。
黒川紀章によって設計された美術館の建築資料や、
MOMASコレクションの中でも、
特に重要な瑛九や小村雪岱のコレクション、
さらに、これまでにMOMASの空間を使って、
制作された同時代の作家の作品なども紹介されています。
なお、展覧会の冒頭に展示されていたのは、
アリスティド・マイヨールの 《イル・ド・フランス》。
背後の写真を見るに、どうやら彼女は、
開館記念式典に出席 (?) していたようです。
どうでもいいですが、記念式典で巨大なくす玉というところに、時代性を感じました。
そんなMOMASの記念すべき開館一発目の展覧会は、
“開館記念展 印象派からエコール・ド・パリへ” だったそう。
一見、展覧会のポスターっぽくない、
斬新なデザインのポスターを制作したのは、
伝説のグラフィックデザイナー・田中一光です。
元ネタ (?) となったのは、モネの 《ジヴェルニーの積みわら、夕日》。
本展では並べて展示されています。
なお、展覧会では、そんな開館記念展でも展示された、
開館当初に収集された作品の数々も紹介されていました。
さてさて、MOMASのコレクションも良かったですが、
個人的に一番ささったのは、普段は閉め切られている展示室の窓が開いていたこと。
外から光が差し込むさまも素敵でしたし、
波打つ窓から一望できる公園の景色も素敵でした。
正直なところ、今後もずっと開けてて欲しいくらいです。
(作品保護の関係上、無理なのは重々承知ですが)
ちなみに。
現在、常設展示室では、通常通り、
MOMASコレクション展が開催されています。
その中で、特に見逃せないのが、こちらの作品です。
ゴッホの 《草地、背景に新しい教会とヤコブ教会》。
一昨年に丸沼芸術の森から寄託されて以来、
今回が初公開となるゴッホの初期の水彩画作品です。
あまりにさらっと展示されていましたが、
実は、ゴッホの水彩画は数が少なく、激レア中の激レアアイテム。
しかも、この作品は1903年にロッテルダムの画廊で一度展示されて以来、
複数のオランダ人コレクターの手に渡り、1950年代以降は行方不明だったのだとか。
2020年、実に約70年ぶりに再発見された幻のゴッホ作品なのです。
繊細な水彩画作品ゆえ、展示期間は3月13日までとなっています。
美術ファンなら、見逃し厳禁です。