ルノアールを筆頭に、モネ、ゴッホ、シャガール・・・と、
街を歩いていると、時に、美術界の巨匠たちと同じ名前のお店に出くわします。
果たして、それらのお店と巨匠との間に関係はあるのか??
気になるようで気にならない。
でも、気にしてしまったら、気になって仕方がない。
そんな疑問を解消すべく、アートテラーは今日も店へと赴く!!
門前仲町駅より徒歩5分。
飲み屋街からは少し離れたエリアに、そのお店はありました。
酒肆 一村 (しゅし いっそん)。
食べログには、その名前で登録されていますが、
なぜか訪れた際には、「不純喫茶 一村」 となっていました。
不純喫茶・・・。
なんとも背徳的な匂いがしますが、
そんな妄想を膨らます僕自身が不純なのでしょう。
雰囲気のある木製の扉を開けると・・・
まず目に飛び込んできたのは、
田中一村の代表作 《アダンの海辺》 でした。
どうやら、一村という店名の由来は、
“日本のゴーガン” こと田中一村で間違いないようです。
この時点ですでに答えが出たので、
このまま引き返しても良かったのですが。
実は、酒肆 一村は食べログのTOP5000にも入る知る人ぞ知る名店。
せっかくなので、お酒と食事を頂くことにしました。
酒肆 一村に来たら絶対に外せないのが、
5種類あるこだわりのアダン・・・ではなく、レモンサワーなのだそうです。
どれも美味しそうですが、1杯目は名代レモンサワーを。
ベースはジン。
アクセントに、トニックウォーター。
大衆居酒屋のレモンサワーというよりも、
オーセンティックバーのジントニックに近い味わいでした。
2杯目は、辛味レモンサワーをチョイス。
見た目は全然辛くなさそうですが、
唐辛子を漬け込んだジンをベースにしているため、ちゃんと辛かったです。
さてさて。
3杯目は、苦味レモンサワーにしようかと悩んでいたところ、
店員さんから、「不味いレモンサワー」 があることを教えられました。
「それは・・・・・その・・・・・本当に不味いんですか?」
「(食い気味で)不味いですよw」
何でも中国の苦いお茶を漬け込んだジンをベースにしたレモンサワーとのこと。
そんなことを聞いてしまったら、
不味いレモンサワーを頼まないという選択肢はありません。
〆として、注文してみることにしました。
見た目は、そんなに不味くなさそうです。
不味い不味いと言いながら、
本当はそこまで不味くないのでは?
若干疑いつつ、口に運んでみました。
「マッズッッッ!!!」
酔いが醒めるほどの不味さです。
数日間貼りっぱなしにした絆創膏を舐めた時のような苦味、エグ味がありました。
1杯目、2杯目はすいすいとお酒が進みましたが、
不味いレモンサワーは、まったくもって進みません。
飲むたびに慣れるということはまったくなく、
飲むたびに、毎回しっかりと不味いのです。
神童、天才と称されながらも、東京の画壇と距離を置き、単身、奄美大島へ。
紬工場で5年間働いたお金で、3年間絵画制作に没頭し、
再び2年働いてお金を貯め、個展を開催しようとするも実現しなかった田中一村。
そんな彼の苦労に満ちた人生を体現したかのようなレモンサワーでした。
ちなみに。
お口直しには、名物のカツサンドを。
こちらは絶品。
感動すら覚える味でした。
奄美大島に “孤高の画家” がいたように、
門前仲町には、“孤高の酒肆” 一村があります。
<お店情報>
酒肆 一村
住所:東京都江東区深川2-1-2 深川岡野ビル 2F
定休日:不定休
営業時間:[平日]17:00~23:00 [土日]16:00~23:00
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