慶應義塾大学正門の真向かいにある・・・・・
慶應義塾大学アート・スペースに行ってきました。
いや、数年ぶりに訪れたら、
名称が慶應義塾大学アート・センターとなっていました。
それに伴い、略称も 「KUAS」 から 「KUAC」 へ。
「KUAS」 だと、「KAWS」 と間違えやすいから (←?)、名前を変更したのかもしれません。
さて、そんなKUACで、現在開催されているのは、
“Artist Voice II: 有元利夫 うたのうまれるところ” という展覧会です。
こちらは、作家の呟きや生の声を感じ取れる展示を目指すという、
昨年よりスタートした新しい展覧会シリーズ 「Artist Voice」 の第2弾。
トップバッターを飾った河口龍夫に続く今回は、
38歳でこの世を去った伝説の画家・有元利夫にスポットが当てられています。
展示されているのは、油画の本作ではなく、
有元利夫のアトリエに残された膨大な素描の数々。
普通だったら、「何だ素描か・・・」 となってしまいそうなものですが。
実は、2020年にBunkamura ザ・ミュージアムで予定されていた、
没後35周年の大々的な有元利夫の回顧展が、コロナのせいで中止に。
僕を含む有元利夫ファンは、相当なショックを受けたので、
素描とはいえ、これだけの有元作品を目にできるなんて、嬉しすぎるサプライズでした。
しかも、アトリエの一部も再現されていましたし。
なお、今回展示されている素描の数々は、
これまでほとんど公開されたことがなかったとのこと。
単なる下描きのようにも思えますが、じっくり向き合うと、
有元利夫が何を考えていたのか、その思考の一端に触れられるようで興味深かったです。
それらの素描やスケッチの中には、
有元利夫の代表作に繋がるようなものも。
走る女性は、早来迎 (=往生したものを阿弥陀様が迎えに来る場面) をイメージしていたのか!
《花降る日》 の当初のタイトルは、《花咲く日》 だったのか!
彼の作品の秘密が明らかになり、
有本利夫ファンとしては、興奮しっぱなし。
無料で鑑賞させて頂くのが、申し訳ないほどでした。
ちなみに。
一番気になったメモが、こちら↓
一体、何のメモなのでしょう?買い物リスト?
一つ確実に言えるのは、有元利夫自身なのか、
それともこのメモを渡す予定だった相手なのか、
べったら漬けが何か、イラスト入りで説明が必要だったということ。
さつまいもの天ぷらは、保存食となりえるのか。
ヨーグルトとヨグールの違いは何なのか。
謎めいていることが、有元利夫の油彩画の魅力の一つですが。
このメモは、彼の油彩画に負けないくらいに謎めいていました。
また、純粋に絵として印象的だったものも多々あります。
まずは、こちらの女性像↓
鼻、でかっ!
映画の 『アバター』 を彷彿とさせるものがありました。
また、映画と言えば、こちらの女性も。
『シャイニング』 か!
絵のタッチ的には、
ステラおばさんの若かりし頃なのかもしれません。
と、ところどころ、シュールで怖い絵が交じっていましたが、
個人的にもっともドキッとさせられたのは、こちらの一枚です↓
これまで有元利夫の作品を目にするたびに、
バッハのフーガが脳内で再生されたものですが。
この1枚に関していえば、この曲が脳内で再生されました。