今年2023年、ポーラ美術館は、
めでたく開館20周年を迎えました。
それを記念して、現在開催されているのが、
“開館20周年記念展 モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に” という展覧会。
お祝いの挨拶もかねて、展覧会初日に足を運んできました!
会場の入り口でお出迎えしてくれたのは、
美術館の看板娘ともいうべき、ルノワールの 《レースの帽子の少女》。
こんな感じで、ポーラ美術館コレクションのベストメンバーが、
次々に登場する 『吉本興業 伝説の一日』 のようなお祭り的展覧会かと思いきや。
フェルナン・レジェの 《鏡を持つ女性》 や、
ベルト・モリゾの 《ベランダにて》 をはじめ、
お初にお目にかかる新メンバーが、
出展作品全体の半数近くを占めていました。
ポーラ美術館コレクションの核となっているのは、
ポーラ化粧品本舗の2代目社長・鈴木常司による個人コレクション。
19世紀、20世紀の国内外の近代絵画を中心としたコレクションです。
しかし、20周年を迎え、この先を見据えて、
美術館のコレクションを拡充していくことに。
その基本方針として、近代と現代とをつなぐ、
戦後の日本や欧米の絵画を積極的に収集しているそうです。
松本竣介 《街》 1940年(昭和15)油彩/カンヴァス 53.0 x 73.0 cm ポーラ美術館蔵
さらに、シン・ポーラ美術館は、
現代アートの収集にも力を入れているそう。
杉本博司さんや三島喜美代さんといった国内の作家だけでなく、
アニッシュ・カプーアやロニ・ホーンといった海外の現代作家の作品も新収蔵されています。
それらの中には、ゲルハルト・リヒターの 《Abstraktes Bild (649-2)》 も。
2020年にアジアのアートオークションにおいて、
欧米作家としては過去最高落札額となる約30億円 (当時) で落札され、
アート関係者の間で、大きなニュースとなった作品です。
落札以後、いつ展示されるのか、
多くの人の関心を集めていましたが、
20周年記念の本展で、満を持して初公開されています。
それも、モネの 《睡蓮の池》 と共演させる形で。
本展の主役は、旧メンバー (?) というよりも、
これからポーラ美術館コレクションの顔になるであろう新メンバーたち。
乃木坂46とか櫻坂46とかでいうところの、
ポーラ美術館コレクション2期生、3期生のお披露目のような。
フレッシュな顔ぶれを楽しむ展覧会です。
30周年50周年への期待も込めて、3ツ星。
さてさて、新収蔵品の中で特に印象に残ったものをいくつか。
まずは、ハマスホイの 《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》 です。
ヴィルヘルム・ハマスホイ 《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》
1899年 油彩/カンヴァス 46.2×51.0cm ポーラ美術館蔵
パッと見は、静謐で穏やかな空気が漂っている感じがしますが。
他のハマスホイの作品同様に、
じーっと向き合っていると、じわじわと不安になってきます。
ドアの歪みに、窓枠カーテンレールの歪みに。
床に映る影がカーテンや窓枠と合ってないのも気になるところ。
世にも奇妙な絵画です。
続いては、《オリーブの木のある散歩道》。
フォーヴ (野獣) 時代のマティスによる作品です。
野獣に例えらるのも納得の荒々しい筆致。
タイトルを観るまでは、何が描かれているのか、さっぱりわかりませんでした。
が、不思議なもので、一度オリーブの木とわかると、
道や草むら、日傘をさす女性など、モチーフをちゃんと認識できます。
むしろ、それ以外のものに見えないくらいに。
最後に紹介したいのは、関根正二 《小供》。
関根正二 《小供》 1918年(大正7) 油彩/カンヴァス 45.5 x 37.9 cm
タイトルは、《小供》 ですが、
子どもとは思えない貫禄があります。
マネーの虎くらいの貫禄がありました。
ちなみに。
本展は、全20章立てで構成されています。
虎舞竜の 『ロード』 よりも章が多いです。