現在、サントリー美術館で開催されているのは、
“大英博物館 北斎 ―国内の肉筆画の名品とともに―” という展覧会です。
(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
古今東西の文化遺産約700万点を所蔵する世界最大の博物館。
それが、大英博物館。
その膨大なコレクションには、
日本の美術品も多く含まれています。
さらにそれらの中には、日本が世界に誇る芸術家、葛飾北斎の作品も!
そんな大英博物館の北斎コレクションから、
選りすぐりの名品の数々が里帰りした展覧会です。
代表作ともいうべき 《冨嶽三十六景》 シリーズを筆頭に、
勝川春朗を名乗っていた頃の初期の浮世絵作品から、
亡くなる直前に描いたとされる北斎最後の浮世絵作品 《地方測量之圖》 まで。
人気の高い作品だけでなく、激レアな作品も取り揃えた、
まさに、北斎の展覧会の決定版ともいうべきラインナップです。
また、浮世絵作品だけでなく、
肉筆画も楽しめるのが本展のポイント。
《若衆図》 を含む大英博物館所蔵の肉筆画も出展されていますが。
福田美術館や北斎館をはじめ、
国内のミュージアムが所蔵する肉筆画も集結しています。
5月18日からはじまる後期には、
西新井大師が所蔵する 《弘法大師修法図》 も出展予定とのこと。
北斎の展覧会はこれまでに何度も開催されていますが、
歴代でも数本の指に入るほどに充実した内容の北斎展です。
なお、個人的に一番印象に残っているのは、
大英博物館が所蔵する肉筆画 《河骨に鵜図》。
北斎の画力ゆえ、謎の説得力がありますが。
冷静に考えると、鵜ってこんな鳥でしたっけ?
もっと首が長くて、細身だったような。
古代の鳥というか、恐竜に近いものを感じます。
もし、この鵜で鵜飼をしようものなら、
魚を吐き出させようとした際に、攻撃されること間違いなしです。
それからもう一点印象的だったのが、《為朝図》。
この絵の主人公は、源為朝。
身の丈2mを超える巨躯の持ち主で、
5人がかりでも引くことができない弓を、
ひとりで軽々と引くほどの怪力の持ち主と言われています。
5人がかりでも無理なため、
3人では当然、弓がびくとも動いていません。
それよりも何よりも、その様子を、
不敵な笑みを浮かべて眺める左の男性の存在が気になります。
顔に浮かべた表情が、フワちゃんに似ていました。
ちなみに。
会場では作品とともに、
北斎のさまざまなエピソードも紹介されていましたが。
その中で一番ぶっとんでいると感じたのが、
68歳の北斎が中風 (=軽い脳梗塞) を患った際に、
自家製の柚子を調合した薬で回復したというもの。
自分で薬作って、しかも、それで治してしまうだなんて。
ブラックジャックかよ。
それと、脳梗塞には、柚子が効果的なんですね。