板橋区立美術館、世田谷美術館、練馬区立美術館・・・etc
都内には、全部で11館の区立美術館があります。
(正確には、うち1館は準備室)
これまでは、それぞれの美術館がソロ活動 (?) をしていましたが、
2018年に、11館が連携した 「東京・区立美術館ネットワーク」 が爆誕!
そして、今年2022年、目黒区美術館にて、
「東京・区立美術館ネットワーク」 初となる展覧会が開催されます。
それが、“東京の猫たち” です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
11館のうち、コレクションを有するのは10館。
個性がバラバラな10館のコレクション内に、
何か共通するモチーフは無いかと探していたところ、
唯一見つかったのが、猫だったのだそうです。
というわけで、本展には、各美術館のコレクションから、
猫が描かれた・モチーフにした作品が大集結しています。
最大19匹の猫を飼っていたという猫大好き彫塑家、
朝倉文夫による猫の彫刻群 (台東区立朝倉彫塑館蔵) もあれば、
猫派の洋画家・藤田嗣治と熊谷守一の作品群、
(それぞれ目黒区美術館、豊島区立熊谷守一美術館蔵)
猫が描かれた日本画 (板橋区立美術館蔵)、
猫が描かれた江戸時代の本 (すみだ北斎美術館蔵) もありました。
時代やジャンルを超えて、
どこにでも描かれている猫。
それほどまでに猫が今日まで、
人々に広く愛されてきたことを実感する展覧会でした。
とはいえ。
世の中の人、全員が全員、
猫が好きというわけではありません。
中には、猫が嫌いという人も。
近代日本画の巨匠、川端龍子もその一人。
それゆえ、大田区立川端龍子記念館には、
猫が描かれている作品が1点もないそうです。
そのピンチを救ったのが、こちらの屏風絵。
南禅寺にある狩野探幽作の虎の襖絵が、画中画として描かれている作品です。
虎はまぁネコ科なので、広い意味ではネコっちゃネコですね。
ちなみに、虎の目線の先にいるスケッチブックを抱えた男性は、龍子本人。
まさに龍虎相まみえています。
しかしまぁ、なにも描かれた虎を睨まなくても・・・。
やっぱり猫が嫌いだったのでしょうね。
そんな龍子とは対照的に、飼い猫を数多く描いているのが、
鉛筆画家の第一人者として知られる木下晋さん (作品は画面左)。
そのキャプションの中に、
スルー出来ない一文がありました。
生涯で 「猫を切らしたことがない」 という木下がかつて飼っていたシロは・・・
「猫を切らしたことがない」 という表現を初めて目にしました (笑)
女や男を切らしたことがない、
タバコを切らしたことがない、なら聞いたことがありますが。
最後に。
個人的にもっとも印象に残っている作品をご紹介。
世田谷美術館が所蔵する油彩画、
フェルディナン・デスノスの 《猫(ミスキー、オーネ、トートー)》(画面左)です。
フェルディナン・デスノスは、素朴派の画家。
独学で絵を習得したため、
プロの画家には出せない独特の味わいがあります。
猫の顔は、まるで人の顔のよう。
劇団四季のキャッツのようです。
なお、その右にある 《楽師と猫》 を描いたのも、素朴派の画家。
イタリアのオルネオーレ・メテッリです。
靴のデザイナーとして活躍する一方で、
オーケストラでトロンボーンの奏者としても活動していたメテッリ。
その割には、トロンボーンの描写がムチャクチャです。